6月に入り、各地でアユが解禁した。1日に山梨・桂川、茨城・久慈川、栃木・那珂川、5日には友釣り発祥の川として名高い静岡・狩野川で解禁となり、待ちわびたファンがそれぞれの解禁を楽しんだ。桂川全域および支流では約2100人のファンが午前4時の解禁とともにサオを出した。

解禁日前日の深夜、関東地方は激しい雷雨に見舞われた。桂川周辺も約1時間ほど、雷鳴とともに豪雨が襲った。だが、水位に影響はなく、むしろ支流の鶴川では10センチほど低くなった。八ツ沢橋下流で解禁を楽しんだ並木忠治さん(68)は「水位が低い。せめて膝までは欲しいかな」と話したが、釣果は上々。午前8~10時半の約2時間半で、12~18センチを21匹釣り上げた。「水温が高くなった9時過ぎから活性が上がったのか、追いが良くなった」という。「まだ群れていて、居ついていない。お盆のころには、大きいのも楽しめそうかな」と続けた。

桂川中流上部となる曙橋では、場所ムラが出た。流れが緩いポイントを攻めた白石暁央さん(78)は「午前4時からサオを出して正午で5匹。こんな解禁日は初めて」と苦笑。だが約50メートル下流のやや流れが速いポイントでは、次々にサオがしなっていた。20センチ超を上げた山田政秋さん(74)もその1人。「良い型が出てうれしい。大きいのが釣れているので毎年来ているけど、中でも今日のは大きい」とご満悦だった。

桂川漁協上野原支部の細田充さん(70)は、動画「ニッカン釣りちゃん」出演のためにサオを出した。解禁日のサオ出しは、実に10年ぶり。まずは八ツ沢橋下流をアタックするも、午前11時過ぎとなり良い場所が取れず不発。だが、曙橋に移動するなり、第1投目でヒット。わずか1時間ほどで5匹を釣り上げた。「友釣りは1に場所取り、2も場所取り、3も場所取り、4がオトリで、5に腕」。友釣りは縄張り意識が強いアユの習性を利用した釣りだが、「人間も場所取りをするのがアユ釣りですね」と笑った。この日のサオ頭は、猿橋公園前の113匹だった。

桂川では4月5日から5月13日までに、琵琶湖産約約8トンに加え、相模川漁連海産を約2トンの計約10トンを放流した。「湖産は追いが良く、海産はシーズン終盤まで元気です」(細田さん)。友釣り専用区は9月15日まで、それ以降は自由釣りで11月末まで楽しめる。【川田和博】

<アユ釣りアドバイス>

◆「1場所、2オトリ、3上手」 アユ釣りの格言。やはり、場所選びが1番。橋の上など高い所から川を見て、チャラ瀬や瀬の脇、大石の裏側など、アユがどこにいるのかや、水中に沈んだ石についたアカにハミ跡(アユがエサとなるアカを食べた証拠)があるか、チェックする。

◆石を釣れ アカの付いた大石の周りには、縄張りを確保したアユがいることが多い。流れを見ながら、白波が立っていたり、水中の石に流れがぶつかって左右に分かれているなどしたら、狙い目。

◆護岸工事 災害の影響で、かつて入れた場所が入れない場合も。駐車場の位置も含め、地元の釣り宿や漁協で情報を入手する。

◆雷 少しでも雲行きが怪しくなるとか、遠くで雷鳴が聞こえたり、稲妻が走ったら要注意。すぐにサオをしまって、車の中やコンクリート製の頑丈で高い橋脚の下などに逃げる。

▼桂川 オトリアユ1匹600円。販売所は漁協HP(https://www.katsuragawa-gyokyo.net/cont2/6.html)で確認を

○…久慈川 解禁初日は約100人(久慈川漁協調べ)が足を運んだが、午前中は大半が様子見していた。5月31日夜半の雷雨で、場所によっては50センチも増水して濁りも入り、水温も低下した。条件は厳しく、午前中にサオを出しても、オトリを追わないことが多かった。

朝から晴れて水は徐々に引き始め、午後から入川する人が目立った。サオ頭は15匹を掛けた。型は12~20センチとまずまず。水量の多い場所より、岸辺に近い浅瀬に分があった。晴れて日照時間が多くなれば、追いも活発になるはずだ。

▼菊池商店【電話】0295・72・3037。オトリアユ1匹400円。