盛夏を迎えてアユ釣りが本格的にシーズンに入った。暑さ本番のこの時季、渇水でアカも腐れ気味になるなど条件は厳しいが、縄張りを持った20センチサイズの良型が友釣りで掛かる。静岡・狩野川の釣り宿「旭水園」で行われた「旭友会」の例会にこのほど参加。同宿の常連であるベテラン釣り師たちが、どんな方法で実際にアユを釣ったのかをリポートしよう。

アユの居場所を探り当てる眼力が求められた。例会に参加した18人は、旭水園よりやや下流にある「吊り(つり)橋」を境に上流、下流に各9人ずつが入った。釣りをするのは午前7時30分から4時間と、午後0時30分から4時間。抽選で上流か下流かを決めて、前後半の入れ替え制による総匹数で競う。お目当てのポイントに到着するとサオを出し、釣り始めた。

梅雨明け後の日照り続きということもあり、平水より15センチほど低い。前日に釣りをした人によると、川の中にある石はアカが腐れ気味でヌルヌルと滑りやすかったという。この時季にありがちな条件だ。ふと、昨年亡くなった「旭水園」店主の菊地啓作さんの言葉を思い出した。「夏場のアユは、水量が豊富な瀬にいますよ」。

まして、下流に向かって斜め右から太陽が昇り始め、照り付ける。人間だって涼しい場所がいい。魚も涼みたいだろう。堤防に沿って生い茂り、覆いかぶさった草木の下の流れなど、居そうな場所にオトリを泳がせ、確実に獲物を掛けていた。

19匹を釣って優勝した太田雅司さん(69)は、吊り橋の上下50メートルの範囲で往復して獲物を掛けると決めていた。ポイントには足首までしかない浅瀬もあれば、ヒザまでつかるような瀬もある。「水通しが良く、黒光りしてアカ付きのいい石の裏で縄張りを持つアユを探した」と話す。オトリの泳がせ方にも気を使った。道糸を張って流すと体力を消耗させ、負担がかかる。「道糸を緩ませて前後左右に自在に動かした」。

惜しくも1匹差の18匹で2位だった島田雅司さん(44)も、同じようなポイントを狙った。「水深の浅い深いは関係なく、流れが通っていて黒く光っている場所で掛かった。選択は間違っていなかった」。同じように深瀬の流心が数を稼いだのは16匹で3位の飯沼繁一さんと、大物賞23センチを含め13匹で5位の大崎成道さんだった。

また、15匹で4位の白鳥道男さんは前半と後半で狙いを分けた。前半(下流)は下流に向かって右側の堤防沿いに埋められた四角形のブロックに立ち、その奥を流れる深瀬を探った。後半(上流)は吊り橋よりやや上流部にあるブロックの中で沈んでいる大石に潜むアユを誘い出した。掛けたらブロックの手前にある深瀬まで出し、その流れに乗せながらサオの弾力でしのいでタモ取りしていた。

「前日に吊り橋の周りでサオを出しながら、360度見渡してどこで釣れているかをチェックしていた。川見が大事」と強調した。

アユを釣るための格言は、「1場所、2オトリ、3上手(腕前のこと)」。盛夏にアユ釣りで数を伸ばすコツは、どの河川にも当てはまるはずだ。旭友会の例会で、腕自慢の釣り師がそれを実証してくれた。【赤塚辰浩】

<アユ釣りメモ>

アユはふ化した後に川を下り、春まで沿岸部で過ごす。その後、5センチ程度の稚アユとなって群れで川を遡上(そじょう)する。川の中では石に付着した藻類を食べ、夏には20~25センチまで成長する。「アカ付き良好」と釣り情報に出ている場合、好条件とみていい。

その藻類を食べるために縄張りを作り、ほかのアユが入ろうとすると体当たりで追い払う。この習性を利用したのが友釣り。狩野川が発祥の地とされているが、諸説ある。友釣りのほか、毛針を使ったドブ釣り、エサ釣り、アジなどのサビキ釣りのように多くの針を流れに乗せて掛けるコロガシ釣りなどがある。

寿命は1年のため、「年魚」と呼ばれる。また、成魚はスイカのようなにおいがすることから「香魚」とも言われる。食べ方としては塩焼きが一般的だが、内臓を塩辛にした「うるか」や、干物は珍味。

国内では北海道南部から九州まで広く分布している。狩野川のほか、那珂川(栃木)利根川(群馬)相模川(神奈川)長良川(岐阜)などが有名。各地で禁漁時期が設定されており、多くの河川は5月半ばから6月にかけて解禁され、9月あたりまで楽しめる。

◆旭友会(きょくゆうかい) 釣り宿「旭水園」に集まるアユ釣り師たちが集まり、50年ほど前に発足。石井良秋事務局長によると、当時の会員数は20人ほどだったが、ピーク時は70人ほどいたという。現在は32人。年に4回、例会を行っている。旭水園を使って釣り具メーカーなどが開催するアユ釣り大会の運営の手伝いを行ったり、狩野川漁協などが解禁前に行う「川掃除」にも参加。会員の技術の向上や、河川の環境保護活動などもしている。

▼旭水園【電話】0558・87・0162。オトリアユは1匹600円。