厳冬期でもブラックバスは狙える。千葉・亀山湖「ボートハウス松下」(松下広明店主=60)では、最大40センチ級がヒットしている。いったい、どんなポイントでどんな釣り方をすればいいのか? 首都圏で大雪が見舞われた当日、バストーナメントの優勝経験者でもある茂手木祥吾プロ(45)と防寒対策を万全にして、実際にボートで出てみた。

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思わぬ耐寒訓練となってしまった。気温5度にも満たず、途中から雪も降ってきた。変温動物のバスにとってはつらい。

水質も良いとは言えなかった。放射冷却で朝方冷え込んでいたため、表層の水が冷えて、下の層と入れ替わろうとかき混ぜられる。底の方にあったヘドロや酸素濃度の低い水が巻き上げられ、濁りが入ったり、水中の酸素も不足し始める。ボートで移動すると水面にできた泡がいつまでも残っているのが、何よりの証拠だった。

こうなると活性は低いと判断するしかない。厳しい条件のなか、茂手木プロは釣り場を絞った。「水温の変動が少ない倒木周りや、水中に刺さっているクイ周り、えぐれて水の動きの少ないワンドを狙いましょう。冬はこういった身を隠しやすい場所の底の方に潜んで、じっとエサを待っていることが多いですから」。

ボートをあまり動かさず、丹念に水中に横たわっている倒木や、縦に刺さったクイのきわへとワームを落として粘る。「我々が手すりを頼って階段を上り下りするように、バスもこの時期は倒木やクイなどを頼って捕食活動をするんです」。根掛かり覚悟でゆっくりとロッドをあおって誘い、アタリを待った。

盛期の釣りとは全く正反対だ。夏などの高活性時は、ボートを流しながらバスが居そうな風の当たるアシ際やワンド、クイ周り、大きな木が覆いかぶさった日陰など、次々と攻める。反応がなければ移動する。ルアーを数多くキャストして、幅広く探るのをセオリーとしている。

「夏のバスは、5メートル先でルアーが着水した音も察知して反応し、興味を示して追いかけてくる。冬のバスの行動半径は1メートル。本当に目の前にルアーを何度も通して食わせます」

総じてアタリも小さい。コツッと突かれたような感触を逃さず、獲物が針掛かりしたままじっとしている感触を確かめ、ライン(道糸)を送り込んで30~40秒ほど待って合わせる。「ヒラメ40(ヒラメ釣りでエサとなるイワシを完全にのみ込んで針掛かりするまで40数えて待てというたとえ)」にも似ている。

こうしたことを頭の中に入れておき、あとはその場の状況で考える。中には、ドカンとひったくるように針掛かりする大型バスもいるという。

今回はラインが雪で凍ってしまう悪条件で、昼前で引き揚げてしまったが、チャンスは必ずある。茂手木プロの場所選びと誘い方は、参考になるはずだ。【赤塚辰浩】

◆手足の先端冷やすな 寒さ対策もしっかり

茂手木プロ、寒さ対策もしっかりしてきた。ブーツの中にカイロを張ったという。移動の時には、指先が出ているフィッシング・グローブの上から手全体を覆う手袋(オーバー・グローブ)を重ねていた。「手足の先端部分を冷やして感覚がなくなるのが最も怖い」と考えているからだった。

ほかにもネックウオーマーだけではなく首筋にタオルを巻き、体の近い部分の温かな空気を逃さないようにしていた。腹巻きをしておなかと背中にカイロを張ることで、内臓も温めていた。「とにかく、熱を逃がさないこと。これが釣り場での防寒の第1歩です」。

これなら船の上や、沖の磯、防波堤に渡った場合でも応用できる。

▼舟 ボートハウス松下【電話】0439・39・2926。コロナ対策のため、店内には立ち入り禁止。

店前で午前6時30分から受付。2月まで出舟同7時、岸着午後4時。ボートは1人乗り2900円、2人乗り4100円、3人乗り5300円(入漁料込み)。エンジンは禁止。10フィートは免許なしでも可能。12、14フィートは要2級船舶免許。