本紙プロ野球評論家の「大魔神」こと佐々木主浩氏(54)と松本秀夫アナウンサー(60)のコラボ対決第12弾は、茨城・波崎のサンケイスポーツ推薦船宿「仁徳丸」で、高級魚のアカムツ狙いで開催。「ノドグロ」の名で知られ、「深海のルビー」「海の赤いダイヤ」など、さまざまな異名を持つアカムツは主に深海200~250メートルに生息。仕掛けを落とすだけでも大変な釣りとなる。経験に勝る大魔神有利かと思いきや、予想外の展開となった。

これまでの通算成績は大魔神の7勝2敗2引き分け。現在、1回の引き分けを挟んで、大魔神の6連勝中だ。今回も「大魔神有利か?」の空気が、関係者には流れていた。実際、松本アナは朝からやらかしていた。「手袋を忘れて寒いんだよね。手がかじかんで餌を付けられないよ」と愚痴をこぼしていた。自業自得だけど…(笑い)。

ポイントは午前4時半の出港から2時間ほど走った大陸ダナ周辺。「水深250メートル。オモリは200号でお願いします。はいどうぞ!」。三橋正幸船長の合図で一斉に仕掛けを投入。アカムツ釣りは深海を狙うため、オモリの重量を合わせ、仕掛けを一斉投入しないとオマツリ(他人の仕掛けと絡むこと)してしまう。さらに、この日は上下の潮の流れが違う二枚潮。大魔神は1投目でアタリに合わせたが、オマツリでバレてしまった。

そんな大魔神を横目に「当たってるのかな?」と松本アナ。「当たったような気がしたので巻いてみます」で上げると、そこには赤い魚影。「もしかして…」と色めき立つ。仕掛けを手繰ると41センチのアカムツの姿。普段、小ぶりばかりを釣り上げることから“松本サイズ”なる言葉まで出来てしまったほどだが、この日はデカムツを上げた。「やばいな~」。普段とは違う松本アナの好スタートに、大魔神は思わずつぶやいていた。その後も松本アナがヒット。「船長の『はい、上げて』で巻いたら掛かっていた」のおとぼけヒットだった。

一方、大魔神は二枚潮に翻弄(ほんろう)されていた。用意していた自作の仕掛け全てをオマツリで失い、ついには船上で仕掛けを作る事態となった。「釣りにならないよ~」。そう嘆く大魔神のサオにアタリが来ると、しっかり合わせた。「これは上げたいね」。だが、残り107メートル辺りで突然のラインブレーク。「うそだろう! サメか? 100メートルも持っていかれたよ。一昨日巻き直したばかりなのに…」と意気消沈。「もう戦意喪失だよ…」と珍しく弱音を漏らした。

三橋船長の「ラスト1投でお願いします」は野球でいえば9回裏。クローザーだった大魔神にとっては、いわば慣れた舞台だ。いつになく真剣なまなざしで仕掛けを投入するとサオ先に全集中。「来た!」。仕掛けを巻き上げるが、200メートルもあるため時間もかかる。上がってきたのはやや型が小さめ。スタッフの「ああ、小さいな…」に思わず「小さい言うな!」と笑いながら一喝すると、「再投入大丈夫ですよね?」と最後の最後まで粘った。だが、無情にも納竿となった。

結局、最大41センチ他3匹の計4匹を釣り上げた松本アナが快勝。「釣れない歴50年でしたが、今日で一生分釣っているかもしれません」と本人も驚きだった。大魔神も「今回はまっちゃんの圧勝だね」と完敗を認めると、「悔しいわ~。近いうちにまた来るから船長、よろしく!」とリベンジを誓った。

貴重な1勝で連敗を阻止した松本アナ。実は、アカムツ釣りは今回が2度目。「私が釣れるので、誰でも釣れると思います!」と自虐的にアピールしていた。【川田和博】

■現役時代からの付き合いで対戦実現

大魔神と松本アナは、大魔神が現役時代からの付き合いで、お互いの趣味が釣りであることからコラボ対戦がスタート。19年12月の第1弾「タチウオ」対決はドロー。第2、3弾「マダイ」は松本アナ、大魔神の順で勝利。第4弾「マダコ」は松本アナが最後に3・53キロを釣り上げ、大魔神のお株を奪う逆転勝ち。第5弾「マダイ」、第6弾「五目」、第7弾「マダイ」、第8弾「マダコ」、第9弾「オニカサゴ」を大魔神が勝って5連勝。第10弾「キハダマグロ」はともに釣れずの引き分け。第11弾「タチウオ」は三石忍氏を交えた三つどもえの対戦で、大魔神が勝利を手にした。

▼仁徳丸 【電話】090・3345・3651。餌のホタルイカ1パックと氷付きで1万3500円。集合午前4時。毎月第3月曜日定休。※狙い魚種や集合時間は季節によって変わるため、必ず電話でご確認ください。

<日刊スポーツ共栄会でアカムツを狙える船宿>

◆千葉・飯岡「梅花丸」 テンヤマダイを得意とする船宿だが、アカムツ船は1月から出船スタート。「開始当初は釣果がいまひとつでした。今は、海況次第にはなりますが、型も数も出ています」と梅花武幸代表(59)。2月末には最大48センチのデカムツも浮上している。【電話】090・2155・0500。集合午前3時半、餌(ホタルイカ)&氷付き1万3000円。

◆茨城・鹿島「第三幸栄丸」 「今はヒラメで出船しているので、ヒラメが終わり次第の出船予定になります」と小野和儀代表(50)。【電話】0299・82・6032

※詳細は必ず船宿にご確認下さい。