兵庫・明石市の林崎漁港から出る「小松乗合船」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で年始から行われていた「第15回メバル3匹合計長寸大会」が4月30日に終了し、上位入賞者が決定した。トップは、大会史上初の連覇、3回目の優勝を成し遂げた浦川隆行さん(明石市)で32・1、31・9、30・0センチの合計94・0センチをそろえた。2位には、1ミリ差の中川豊さん(神戸市)が入り、3位は93・7センチで生内和裕さん(明石市)が受賞した。大会期間中には、これまでで最も多い、50匹の尺メバルが上がり、春の絶好機に順位が大きく入れ変わるアツい戦いが繰り広げられ、大いに盛り上がった。【近江康輔】

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春を制する者はメバル釣り大会を制する。わずか数ミリの差で上位者が並ぶデッドヒートの末に浦川さんが1ミリ差で逃げ切り、見事、3度目の優勝を飾った。冬場は下位に低迷していたが、春の絶好機を迎えると、待ってましたとばかりに順位を上げ、4月8日にはトップに浮上。

水温の上昇でメバルの引きが強くなり、大型にハリスを切られる人が目立つ中、ロッドの性能を最大限に発揮。ハリスが切れる限界を心得た絶妙のやりとりで32・1センチを筆頭に尺メバルを3匹そろえた。

長年、培ってきた極細仕掛けも効果を発揮した。ビーズなどの光るパーツを一切使わず、オモリも土の中に埋め、輝きをなくす念の入れようで警戒心の強い大型メバルとのコンタクト回数を増やした。そんな自慢の仕掛けを昨年、公開。釣り方も釣友とともにYouTube(小松乗合船HP参照)にアップすると大きな反響。その効果か、今大会は参加者が例年以上に多く、後半には連続釣行でバトルを繰り広げる人もみられた。

今後の目標はメバル釣りの魅力を若い人に伝えていくこと。「細ハリスでメバルの強烈な引きに耐えるやりとりは何度経験してもたまらない。体が元気なうちは小松乗合船に通って釣り方を伝授していきたい」とアツい思いを語った。

小松達史船長も「浦川さんは先代(亡き父)も認めていた腕前なので、さすがやなと思いました。まだまだ、みんなを引っ張っていってもらいたい。士気を高めてほしい」と快挙を称賛。

メバル釣り大会の魅力は3匹の尺クラスをそろえないと、なかなか上位に入れないところにある。1シーズンで何度もない尺メバルとの出合いを確実にものにするために試行錯誤を重ねるのが面白い。来年も、大物を追い求めるアツいバトルから目が離せない。

<2位中川豊さん 尺メバル3匹に感激>

「30センチを超えるメバルを釣ったのは初めて。しかも3匹も。それだけで十分にうれしい」。小松乗合船に通い続けて三十数年の常連、中川さんが尺メバル3匹に感激。喜びを口にした。3月12日に32・2、31・3センチを釣り上げて一気に2位へ。同月29日には30・4センチを追加し、3週間トップをキープ。結局、浦川さんに追い抜かれたものの「春は大型がよく釣れ、ドキドキの展開でとても楽しかった」とバトルを振り返る。尺メバルを仕留められたのは、まどかさん(船長の妹で助手)のおかげ。「メバルが浮いているよ。底から5、6メートル切ってみてと言われ、試すと釣れました」。メバル釣りの魅力はヒットした瞬間、グッグッグッと竿を引き込む鋭い締め込み。「来年も、細仕掛けで尺メバルとのスリリングなやりとりを楽しみたいですね。つわものぞろいなので、トップ10ぐらいを目指して頑張ります」と抱負を語った。

<3位生内和裕さん 大会最長寸の32・4センチ>

「メバル釣りは、いかにしてヒット率を上げられるかに尽きる」。研究熱心で進化することを信条とする若手のエース・生内さんが3位に入った。1月16日に早々と大会最長寸の32.4センチを仕留めるなど、合計93.7センチで3月末までトップをキープするが、春メバルの強烈な引きにムーチング竿での対応が遅れて四苦八苦。大型を掛けるもラインブレークで釣果を伸ばせず、逆転を許す結果となった。「今年はメバルがあまり浮かないイメージだったので、底から1.5メートル上をトレースすることを心掛けたのがよかった」と振り返る。今後は4月の尺メバルをいかに取り込むかがカギ。「竿のためでメバルを浮かせられるように次は1号の磯竿を試します。来年は優勝を目指さずに各ポイントの攻略法をもっと研究するなど、試行錯誤の1年にしたい」。生内さんがメバル道を極めていく。