福井・若狭大島のかかり釣り場(西森渡船=日刊銀鱗倶楽部加盟店)で頻繁にトップ釣果を引き出す常連・辻村茂男さん(向日市)の技を見た!! 先日、バリコ(小型のアイゴ)やサンバソウにフグなど、やっかいな餌取りがわきたつ中、23~32センチのチヌを18匹釣り上げた。固く握ったダンゴで餌取りをかわし、はわせで本命の食いを引き出す、必釣法に迫った。餌取りに翻弄(ほんろう)され、釣果が伸び悩んでいる人は必見ですよ。

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9月は餌取りとの戦いだ。上がった筏は葉夫の3番。当日も上層から底までバリコだらけ。チヌはいるが、ダンゴ周りに入ってこない厳しい状況だった。そんな中、辻村さんの攻め方は2つ。1つ目は少量のオキアミをダンゴに交ぜ、しっかり握った硬いダンゴで刺し餌(サナギとコーン)を守るというもの。

もちろん、餌取りがダンゴを突きまくるが、しばらくするとおとなしくなるそうで、そのタイミングに刺し餌がダンゴから出るのを待つ。そうして刺し餌が跳ね上がらないようにラインを潮の速さに合わせて送り、チヌに口を使わせる。これの繰り返し。毎回、うまくいくとは限らないが、当日も粘り強く攻め続けることで釣果を伸ばした。

もう1つは底にボラを集めて餌取りを散らすという方法。ボラは刺し餌を食うことは少ないので、ゴンゴンとしたボラのダンゴアタリを見送り、刺し餌がダンゴから出ると前述と同様に餌取りに見つかりにくいようにラインを送り、チヌアタリを引き出す。

時に、カンカンカンと鋭いチヌのダンゴアタリが出るときがあるが、その時はチャンス。食いの早いオキアミを餌にしてチヌを仕留めにいく。「ただ、ボラを掛けてしまうと、底にボラを釘付けにできなくなるので、注意が必要」だと話す。

もう少しの間はこのような我慢の釣りが続くが10月に入ると餌取りの活性が下がり、秋の数釣りが本番を迎える。そうなると、辻村さんが得意とする積極的な攻め方が威力を発揮する。

ダンゴが割れ、ツンツンとくるチヌの前アタリをとらえたあと、竿先にわずかなテンションをかけたり、少しラインをゆるめて本食いに持ち込む。「最初の前アタリを見送り、微妙な誘いで明快なアタリを引き出すところがだいご味なんですよ」と声を弾ませる。

辻村さんの技術は週2回のハイペースな釣行によるもの。そのために費用を節約し、テントで寝て連続で釣行することもしばしば。ダンゴも精米機で無料提供されているヌカに少量の集魚剤と砂を混ぜるだけ。

刺し餌もオキアミ、コーン、サナギ以外は使わない。コストを極力抑え、釣行回数を増やすスタイルが技術の向上につながっているようだ。釣り場に数多く通うのが腕を磨く一番の近道。みなさんも試してみてはいかがですか。今秋も辻村さんから目が離せない。

◆ダンゴの配合 ヌカ4に対して砂1の割合でベースのダンゴ餌を用意し、少量の「細びきさなぎ」、「チヌパワー」を加え、適量の海水でパサパサに仕上げたもの。

【今後の見通し】10月に入ると、気温、水温が下がり、餌取りも減ってチヌがダンゴを積極的に突きだす。そうなれば、オキアミを刺し餌に適量のアミエビをまぜた集魚効果の高いダンゴで数釣りが期待できる。

【問い合わせ】西森渡船【電話】0770・77・0191。筏の渡船料大人4000円、子ども(中学生以下)2000円、一文字2500円。釣り人の宿泊1泊2食付き(朝は弁当)6500円、素泊まり4000円。イカダは22基、トイレ付き。オケ、ライフジャケット、パラソル(夏)無料貸し出し。出船は日の出、納竿は日没。

【交通】舞鶴若狭自動車道の小浜西ICを出て、国道27号を西へ。青戸大橋の信号を右折。県道241号を道なりに走り、トンネルを2つ抜け、右手に入り江が見えてきたら右折。海岸沿いを道なりに進むと左手に西森渡船があり、向かいが乗船場。