本紙野球評論家で“大魔神”こと佐々木主浩氏(55)が24日、静岡・御前崎「博栄丸」(大沢洋輔船長=46)で金洲五目に挑戦した。

金洲とは、御前崎沖の南約25キロ付近に位置する、太平洋岸有数の好漁場。深場や浅瀬、カケアガリ等が約6~7キロ四方にあり、各根によって居付く魚も変わる。大沢船長は「この時季はシマアジ、ムロアジ、イサキ、ウメイロやオナガダイなどが楽しめます。特にムロアジは今、脂が乗っているので、釣れたらぜひ、刺し身で味わって欲しいです」と話した。

だが、大魔神の狙いは違った。「大物ハンター」と化した大魔神の狙いは、ムロアジを餌にした泳がせ釣りで狙うモロコ(クエ)だ。20年12月、35キロのクエを釣り上げている大魔神は「今日はモロコ狙いでいく。他の魚はいらない!」と宣言したのだ。

御前崎港から走ること約1時間半。遠くに富士山は見えるが、四方は海。まずは餌となるムロアジの確保でサオを出す。大沢船長の指示ダナにビシを落としてしゃくると、すぐにサオ先がグンと曲がった。「当たった。でもサバっぽい」。巻き上げる最中にもサオ先が暴れる。「餌にいいんじゃないか!」。だが上がったのはデカイサキ。「でかっ! これじゃ、餌にならないよ」。思わず苦笑する大魔神だった。だがその後、ムロアジを釣り上げると「特餌確保!」。さらに数匹ゲットし、これで準備は整った。

大沢船長によれば、「モロコは1年で3~4本みるくらい」という。「今日は思ったほど潮が速くないので、過去にモロコが釣れたポイントに行ってみます」。大魔神はもう1本用意したサオにムロアジを付けると、海底へと沈める。「さあ、こい!」。

モロコは大魔神をもってしても、そう簡単に釣れる魚ではない。2時間ほどアタリもなく、ただ時だけが過ぎていく。イサキを餌に落とし直した午前10時ころ、それは突然やってきた。あり得ないくらいにサオがしなり、折れんばかりの勢いだ。「楽しい!」。そういうとロッドのお尻を腹に当て両手でサオを持つ。「く~、楽しいよ!!」の言葉と裏腹に、大魔神の腕がプルプルと震える。魚の激しい抵抗でサオがしなり、船体に当たる。やがて、海面に大きな魚影が浮かび上がる。「やっぱり、サメか!」。ここでハリス切れも、「楽しい~!」とはしゃいだ。「サメにも負けない俺のパワー。すごくない?」。大物ハンターならではの発言だ。

結局この日、モロコの姿を見ることはできなかったが、「なかなか釣れないからロマンがある」と大魔神。加奈子夫人とともにファンという本紙釣り面でボウズを連発した演歌歌手、出光仁美を引き合いに出し、「出光さんが、マダイが釣れないのとは訳が違うから」といたずらっぽく話した。

大沢船長によれば今後は、「黒潮が落ち着けいていれば五目でムロアジやイサキ、それを餌にした泳がせでモロコ、カンパチが狙えます。潮が速ければカツオですね。群れは確認できていますが、まだオキアミに食ってこない。いずれにせよ、黒潮の状況次第です」という。

この日の模様は後日、本紙釣り面(関東版)および、ユーチューブ動画「ニッカン釣りちゃん」で公開予定。