ツリジョモデルで“つ~ちゃん”こと元BS釣りビジョン「TSURI na KIBUN」MCの利水つばさが、千葉・富浦「共栄丸」(笹子宏宣船長=51)で、シーズン開幕直後となるルアーシイラに挑戦した。日刊スポーツ釣り面初登場から、ずっと念願だったシイラ釣りがこの日、実現した。テンションアゲアゲのつ~ちゃんの思いは、シイラに届いたのか?
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「やっとニッカンさんでシイラができる~!」。いつになく、アゲアゲなつ~ちゃん。それもそのはず。日刊スポーツ初登場の20年10月から、ずっと訴え続けたシイラ釣りだ。では、なぜここまで時間がかかったのか? 実は、21年はシイラ自体が不調で取材成立せず。22年は取材が決まりながらも、笹子船長のコロナ感染で中止となったのだ。「笹子船長におすすめルアーを聞いて買い足しましたが、あれもこれもで会計したら、4万円にもなっていました」。出船前、笹子船長にこの日の推奨ルアーを確認すると、シルバー系にピンクラインのポッパーだった。「今日一番釣れそうと思ったのと同じ! 女子っぽいでしょう。かわちい」と腰を振っておどけた。
共栄丸でのシイラ船開始は1日だったが、初出船は3日。その日は「魚は見えたけどヒットしなかった」と笹子船長。だが、次の日には75センチが1匹ヒットしていた。
流木や漂流物、潮目などを探し、その周辺をポッパーやペンシルなどで表層を狙うのがシイラ釣りの基本だ。「投げられること自体が楽しい!」。喜々としてキャスティングを繰り返すつ~ちゃん。だが、船中最初のヒットはシイラ歴約7年という長谷川崇さん(32)だった。「前の友人のルアーをチェイスしていたけど見切られた。でも、着水音で食うかもしれないし、シイラは大抵つがいでいるので、もう1匹いるかもと思って投げたら掛かりました」。ロッドが大きくしなる。船べりまで寄せ後はタモ入れ。だが笹子船長が痛恨のタモ入れミス。シイラのルアー針はカエシをつぶした「バーブレス」のため外れやすい。「本当にごめん!」と謝る笹子船長に長谷川さんは「よくあることなので」とほほ笑んだ。
共栄丸は約2時間ごとの釣り座ローテーションだが、船頭の人はもちろん全員でシイラを探す。だが、ハンマーヘッドシャークやイルカは見えるも、本命の姿はない。“後半のつ~ちゃん”を自称するが、さすがに「腕がパンパンになってきたし、手首もヤバい。気持ち的に200回は投げた感じです」。だが、そんな言葉とは裏腹にキープスマイルだった。
ファーストヒットから約5時間後、再び長谷川さんがヒット。それと同時につ~ちゃんの「4匹いる!」の声が船内に響き渡った。常連客を含め、獲物の進行方向にルアーを投げるがバイトはなかった。一方、長谷川さんは海面をジャンプするシイラとのファイトを楽しんだ。タモを持った笹子船長は「なんか、ドキドキするな…」とポツリ。だが、同じミスは2度繰り返さない。無事タモに入れると、2人はハイタッチを交わした。上がったのは全長104センチのメス。「潮目に投げて誘い出しました。今年初のシイラなので、取れて良かったです」と会心の笑み。笹子船長は、「朝と同じポイントでトビウオが飛んでいたのと、潮目が残っていたので狙った」という。これが、渋い中での貴重な1匹となった。
結局つ~ちゃんにシイラは来なかったが、「今日は投げられたし、型も見られたので楽しかった」とし、「シイラが始まると夏が来たという感じです。今日は練習。また挑戦したいです」と前向きに話した。その横で笹子船長は「自分で自分の首を絞めてしまいました」と苦笑。「今日は魚がいなかったけど、シーズンはまだ始まったばかり。潮が変われば、新しい群れが入ってくるはずなので、これからです」と続けた。
実際、取材翌日には最大110センチ船中3匹、翌々日は最大118センチ船中4匹と、徐々に上向いている。東京湾口のシイラは、これからだ!【川田和博】
追ってきたら小刻みに揺らす
ルアーシイラは基本的にキャスティングとなるため、投げる際には周囲への注意が必要だ。笹子船長は「基本はアンダー。オーバーしか投げられない方はオーバーでも構いませんが、必ず後ろを確認してください」と注意を呼びかけた。また、投げる方向について、「シイラがいれば船を止めるので、シイラの進行方向に向かって投げてください。シイラの姿が確認できず、潮目などを探るときは船を進めているのでアップクロス(船の進行方向斜め前)に投げてください。真横に投げるとルアーが流されて、下手の人とオマツリしてしまいます」と話した。
誘い方はさまざまだが、「姿が見えずに誘い出しのときは、巻きながら腕をゆっくり上下させる感じでいいのですが、追いかけてきたら小刻みに揺らして誘うといいでしょう。ルアーによってはルアー自体が首を振るものもありますが、追ってきたら小刻みに揺らす誘いが有効でしょう」という。
キャスティングとにかく練習
記者も体験させてもらったが、まずぶち当たったのがキャスティングの壁だ。ルアー釣りの経験が乏しい記者にとってまず問題となったのが、スピニングリールのハンドル問題だ。記者は右ハンドル派だが、そうなると左手でロッドを持つことになる。これが右利きの記者にとっては、想像以上にハードルが高かった。出船前、港内でオーバーキャストの練習をするが、ロッドのしなりをうまく使えず、ルアーがわずか数メートル先にポチャリ! 「これはヤバイ!」。笹子船長とつ~ちゃんにキャスティングのコツを教わり、「ある程度投げられるようになる」が、この日の目標となった。自分的には「何とか投げられるようにはなったかな」と思うが、記者だけが別次元での戦いとなった。