かかり釣りの祭典「K-ZEROフェスティバル2023in三重・九州」(主催・K-ZERO、協賛・(株)オーナーばり、マルキユー(株)、黒鯛工房、エサ市場・えさきちほか)が10月29日、三重県の鳥羽・小浜の筏、佐賀県肥前町にある仮屋湾のかかり釣り場に分かれ、インターネットを利用した同時開催が行われた。一般参加も含め、125人が参加し、チヌの総重量を競った。総合優勝は38~46センチを4匹(4・66キロ)そろえた阪神支部の三村翔吾さんが初優勝。2位は同支部の山本直希さん、3位は九州(一般)の畑中稔さんだった。【中村和嗣】
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「大会で初めてチヌが釣れ、しかも総合優勝だなんて、まさに夢心地です」。三村さんが控えめに言葉をかみしめながら、初優勝の喜びを口にした。
当日の小浜のかかり釣り場は風が強く、場所によって潮の流れも速い非常に釣りづらい悪条件。そんな中、上がったのは3番筏。風は比較的、弱かったものの、潮は渦巻く状態だった。
まずは4Bのガン玉を付けて、サナギとコーンの抱き合わせを刺し餌にした落とし込み釣りで、筏周りの様子を探るが、チヌの反応はなかった。しかし、午前8時半ごろ、渦巻いていた潮が左方向に流れ出すと、三村さんのワンマンショーが始まった。流していた仕掛けが左側の筏止めのロープ下に引き込まれると、同所でチヌアタリが連発。約30分で38~46センチを4匹釣り上げた。その後、ダンゴ釣りに変更したが餌取りの猛攻に遭い釣果は伸びなかった。それでも総重量4・66キロで、2位に2・31キロの大差をつけての圧勝だった。
勝因は「餌取りのいない間に、落とし込み釣りで攻めたのがよかった」と振り返る。
三村さんのかかり釣り歴は12年だが、8年前に突然の転機が訪れる。当時発売されていた兼松伸行会長のチヌ釣りの映像を見て、その理論、そしてそれを実践してチヌを仕留める姿に衝撃を受ける。「自分もこの人のようなかかり釣り師になりたい」と憧れを抱き「K-ZERO」に入会した。その後は、会長に1歩でも近づけるように、同会の親睦会に参加したり、各地のかかり釣り場をめぐり腕を磨いてきた。
かかり釣りの魅力と今後の目標を尋ねると「かかり釣りは試行錯誤しながら、繊細なアタリを見極めて、釣り上げたときの快感がたまらない。そして1日でも早く会長のような名人級の腕前に近づけるよう日々精進して、ロクマル級のチヌを釣り上げたいです」と、たゆまぬ努力を誓い、まだ見ぬ大チヌに夢を膨らませた。
<上位成績>
◆2会場総合順位=(1)三村翔吾(阪神支部)4・66キロ(2)山本直希(同)2・35キロ(3)畑中稔(一般)1・90キロ◆三重会場 (1)鈴木孝治0・98キロ(2)和久田優志0・97キロ(3)福田豊0・65キロ(4)鈴木孝弘0・36キロ(5)大村文男0・26キロ◆九州会場 (1)池田英輝1・90キロ(2)国武恵1・60キロ(3)久保山義則1・60キロ(4)藤本龍1・50キロ(5)兼松伸行1・50キロ◆レディース賞 (1)加藤千晴0・84キロ(2)永田朱美0・08キロ◆キッズ賞 味岡治樹(中3)山田桜輔(中3)山本勝大(中3)3人とも釣果なし=敬称略。
※各会場の上位成績は総合4位以下から順位付け。同重量は年齢順で決定。
◆総合2位・山本直希さん(三重会場、阪神支部) 小さめのダンゴで濁りを切らさないよう注意し、7グラムのタングステンオモリを使った落とし込みで釣りました。数は釣れていたので、後半サナギの刺し餌で一発大物を狙ったものの不発。もし1匹でも釣れていたら優勝できたかも。それが残念です。
◆総合3位・畑中稔さん(九州会場、一般) 総合3位に入れてうれしい。チヌは早朝にオキアミの刺し餌で、ダンゴが割れた瞬間に40センチ級が食ってきました。妻に今回釣れなかったら大会参加をやめると約束していたので、ほっとしました。これでまたみんなと大会に参加できるのがうれしいです。
◆レディース優勝・加藤千晴さん(三重会場、東海支部) シラサエビの刺し餌で、タングステン5グラムのオモリをつけた広角釣法で、5メートルほど遠投して4匹釣りました。かかり釣りはチヌをかけた時の感触がたまらなく好きです。次もたくさん釣って上位を狙いたいです。
◆兼松伸行会長の談話 釣果を出すのが難しいこの時期で、三重会場では40センチ級を1人で4枚釣った方、数でも16枚釣るなど、すばらしい釣果だと思います。九州では全体で30枚のチヌが上がっており、大会としては大成功だったと思います。今回も和気あいあいとした雰囲気の中ですばらしいK-ZEROフェスティバルになったのではないでしょうか。鳥羽、九州ともに今後チヌの最盛期を迎えるので、しっかり釣行していただき、皆さんでかかり釣りを盛り上げていきましょう。
◆大会経過 両エリアともに午前6時ごろ~午後3時まで、チヌの総重量を競った。三重・小浜は朝から風が強く、場所によって潮もかなり速く苦戦する人が多かった。そんな中でも良型チヌが連続して釣れたり、2桁を釣った人もいた。九州・仮屋湾では午前10時ごろから、こちらも風が強く吹きだし、潮も速くなって、後半は一部を除き釣りにならない場所が多かった。悪条件のため両エリアとも匹数は伸びなかった。サイズは九州の方が良型が多かった。開会式、表彰式はインターネットの同時中継で行われ、盛り上がりをみせた。
◆K-ZERO かかり釣りの名手・兼松伸行氏(日刊FPC)が会長を務める釣りクラブ。ビギナーからトーナメンターまで門戸を開き、釣りクラブや団体などの枠を超えて集まり、かかり釣りの技術発展、親睦を目的に活動している。関東から九州まで10支部があり、会員は約550人。各支部の懇親大会のほか、年に3回の黒鯛工房杯が行われており、毎年、秋に総括大会の「K-ZEROフェスティバル」を開催している。