ここは竜宮城!? 脂が乗った寒ヒラメを狙って15日、三重・鳥羽・石鏡漁港の乗合船「三幸丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で伊勢湾に出た。生きたイワシをエサにした泳がせ釣りで挑戦。暖冬で海水温が高く、釣果は伸びなかったが、記者は46、50センチ2匹を仕留めた。船中では70センチクエやハマチなども釣れていた。里中典生・公祐船長親子の親身なサポートで手にできた堂々たるヒラメ。初心者こそ、この感動を味わってほしい。【大津賢一】
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午前11時すぎに水深20~30メートルの最初のポイントに到着した。ヒラメ釣り初挑戦の記者に、里中公祐若船長が餌のつけ方などを丁寧に教えてくれる。胴突き1本針仕掛け(3本イカリの孫針付き)の親針を生きたイワシの口にかけ、3本イカリの1つをイワシの背びれより尾寄りにかける。仕掛けを落とし、着底したら、リールを3、4回巻き上げる。この動作をこまめに行い、底から1メートルくらいをキープしてアタリを待つ。
アタリがないまま迎えた午後1時45分ごろ、ポイント移動のために竿を上げようとした記者のリールのドラグが鳴る。「根がかりしたか…」と思ったが、無事巻き上がった。そして海面に現れたのは、50センチのヒラメ。動き出そうとした船を里中親船長がすぐに停止させ、待望の初ヒラメを取り込んでくれた。鮮魚店でしか見たことのなかった大きなヒラメが、目の前でぶりんぶりんと舞っている。その力強さが、釣り上げたという実感を確かなものにしてくれた。
さらに同2時25分ごろ再び記者の竿がしなり、2匹目となる46センチヒラメをゲット。約5分後には28センチのカサゴも釣り上げた。船尾でも40センチのヒラメが上がる。時合が訪れたようだ。さらに10分ほど後、記者の竿がより激しく曲がり、ラインが前後左右に動き回る。「ハマチだ」と親船長。その言葉通り、45センチのハマチが姿を見せた。その後も同じようなあたりがあったが、痛恨のバラシ。親船長から「孫針をきちんとチェックしないと。針が伸びてしまう(カーブが緩くなる)と、バレやすくなるから」と助言を受ける。
船中では47~52センチのハマチや45センチのマゴチが釣れていた。そして、同4時20分ごろ、左舷後方で大きなクエがヒット! 70センチ(5・3キロ)のド迫力ボディーだった。仕留めた曽我三夫さん(愛知県知多郡)は「最初はアタリなのか何なのか分からず、根がかりかと思った。上げてみてびっくり。まさかクエが釣れるなんて…」と、獲物を掲げ、笑顔で驚きを口にした。
日も暮れ始めた同4時45分ごろに納竿。ヒラメ2匹を釣った記者が竿頭に。まさにビギナーズラック!! でも、それは船長親子が懇切丁寧に見守り、助けてくれたおかげ。初心者にとって大物釣りはハードルが高いと感じてしまいがちだが、ビギナーでも…いや、ビギナーこそ、この釣りを体験し、高級魚釣りの楽しさを満喫してほしい。
【今後の見通し】暖冬の影響もあり、まだ海水温が高い。これから水温が下がればヒラメの食い気も上がり、40~50センチを中心に70~80センチの大型も期待できる。
【問い合わせ】三幸丸【電話】0599・32・5604。乗合船料金は半日便1万2000円、1日便1万5000円(餌、氷付き)。出船は午前便が午前6時ごろ、午後便は正午すぎ。1日便の釣り時間は要確認。素泊まりは3000円。他にも「幸徳丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)【電話】090・7303・5080がある。
【交通】近鉄鳥羽駅下車、バス、タクシー利用。車は大阪から名阪国道、伊勢自動車道、伊勢二見鳥羽ライン経由。鳥羽IC交差点から国道42号へ。鳥羽駅をすぎて同167号へ。安楽島大橋を渡り、県道750号から同128号(パールロードシーサイドライン)へ。約20分で石鏡漁港。