釣り特集面の新春企画は、昨年に引き続き豪華共演が実現。“アニキ”こと俳優の哀川翔（62）と本紙野球評論家で“大魔神”こと佐々木主浩氏（55）が、千葉・富浦「共栄丸」（笹子宏宣船長＝52）でコマセマダイに挑戦した。とにかく“もっている”アニキが残り20分で獲物を釣り上げたが…？
◇ ◇ ◇
「食った～！」。サオ先がグンと海中に引き込まれると、アニキの声が船上に響き渡った。それは笹子船長の計らいで、30分延長となった残り20分だった。
アニキはこれまでに何度も、残り30分からの“奇跡”を見せてきた。大魔神も、スタッフも、そして笹子船長もその瞬間を目の当たりにすると「まただ！」となった。慎重なやりとりの後にハリスを手繰る。12メートルの長ハリスのため、海面に魚影が現れるまで時間がかかった。「ん？ クロダイか？」。だが、その魚体にはシマ模様が見えた。獲物はイシダイだった。
さかのぼること釣行日の約1週間前。笹子船長から「マダイが釣れていない…」との連絡が入った。冬のマダイは俗に“落ちのマダイ”と呼ばれ、決して釣りやすいとは言えない。実際、型は2～3キロも上がっていたが、数はトップでも2～3匹。日によってはオデコが出ることもあった。だが、記者の「アニキと大魔神なら大丈夫。2人を信じましょう」で当日を迎えていたのだ。
大魔神はステンカンのビシに1・5メートルのクッションゴムを合わせ、まずはハリス6号6メートル＆4号6メートルのテーパーとマダイ針9号で挑んだ。手元の魚探には好反応。「これは食いそうな反応。翔さん、良い反応がきていますよ！」。だが、魚が口を使わない。針を10号に変更、ガン玉を打つ、テーパーの号数と長さの組み合わせを変える、最後はテーパーをやめ2・5号の12メートルに変更など、あらゆる手を尽くした。それでも上がってくるのは手のひらサイズばかり。「パターンが分からない。今日は難しい」。大魔神をもってしても苦戦を強いられた。
そんな中「これはタイだろう！」。だが、上がったのはカイワリ。「マダイだと思ったら違うし、マダイじゃないと思ったらマダイだし。今日はおかしい」と首をかしげた。
一方、アニキはイサキとサバのみ。小さいがマダイを釣り上げる大魔神に「何で俺にタイがこないんだよ～！ 餌取りばっかりだよ」と嘆いた。やがて、笹子船長から「30分延長します」のアナウンスに「よっしゃ～！」と喜ぶとイシダイを釣り上げた。
本命ではなかったが、またもやラスト30分以内で“翔タイム”を見せたアニキ。“もっている”伝説は今年も健在だ。【川田和博】
■アニキと大魔神 好みは対極
アニキと大魔神。豪華共演だが、好みの釣りはほぼ対極だ。いろんな魚種を好み、五目釣り系が好きなアニキに対し、あくまでも本命のみを狙い、大物釣りを得意とする大魔神。また、とにかく“もっている”アニキに対し、大魔神は技巧派でもある。まるでアニキが運のみと誤解されるかもしれないが、これまで何度も“奇跡”を目の当たりにしてきた記者としては、とにかく“もっている”としか言いようがないのだ。大魔神も「さすが、一流芸能人は違う」と舌を巻いていた。おそらく、最後の一投まで諦めないその気持ちが、奇跡を起こしていると感じている。
■笹子船長の今季の展望 水温が乱高下…
今季のマダイの展望を「希望が見えない…」と苦笑する笹子船長。例年であれば水温が低くても安定する時季だが、「今年は上下が激しい」と嘆いた。水温の乱高下があると、魚は口を使わなくなるといわれている。「低くてもそこで安定してくれれば…」というが、こればかりはどうにもならない。
冬場のマダイは俗に“落ちのマダイ”といい、「深場に固まっている」という。「型は細かく数釣りとなるが、固まっているのでバタバタと釣れることもある。中には大きいのも交じるので油断もできない。テクニカルになるので、釣り上げた喜びも大きい時季だと思います」とアピールした。
▼富浦「共栄丸」【電話】090・7244・0460。集合午前5時30分。コマセ＆氷付き1万2000円。現在、午後船でティップランのアオリイカも受け付け中。※狙いの魚種、出船状況は必ず電話で確認を。
◆日刊スポーツ共栄会でコマセマダイが可能な船宿 ▼小湊「鯛丸」【電話】04・7095・2705▼吉浦「八平丸」【電話】04・7096・0062▼勝山「宝生丸」【電話】0470・55・2777▼八景「太田屋」【電話】045・782・4657▼毘沙門「新店丸」【電話】046・881・6637▼須崎「静栄丸」【電話】0558・22・5223▼手石「米丸」【電話】0558・65・1060▼安良里「ふじなみ丸」【電話】0558・56・0371▼戸田「たか丸」【電話】0558・94・3214▼久料「魚磯丸」【電話】055・942・3230▼興津「大和丸」【電話】090・7686・5010
