夏の大会を迎えた高校球児のように「一発ホームラン」の釣りがある。東京湾のマダコは、千葉寒川「小峯丸」(小峯雄大船主)や神奈川・金沢八景「太田屋」(太田一也船主)のようにサオを使っての「エギタコ」、千葉・富津「みや川丸」(宮川淳船長)のように手釣りのテンヤで狙う。いずれもアタリがじかに伝わり、中には1キロを超える大ダコが乗る。暑い夏に小突いて「熱く」なる。淡水では、50センチを超えるブラックバスが各地でヒット中。パターンさえつかめばこちらも強烈なやりとりが楽しめる。
「一発ホームラン」を狙う東京湾のマダコ
■千葉寒川「小峯丸」
■神奈川・金沢八景「太田屋」
■千葉・富津「みや川丸」
正月に空に揚げるのとは違い、夏のタコは海中から上がってくる。エギでもテンヤでも乗った重みを感じたら、数秒待って合わせる。うまく乗っていたら、海底の岩盤にくっついていた吸盤がベリッ! と引っぺがされる感触が分かる。各船長によると、「昨年に比べて今年は型がいい」という。一発ホームランが期待できる。
地元漁協の取り決めで、テンヤ限定の、みや川丸では6月25日に4・6キロに4・1キロが立て続けに乗る「大ダコ祭」となった。手釣りのため、船下に仕掛けを投入。底を小突きながら、エサのカニを目がけてテンヤに乗った時の獲物の重みが手先を通じて感じられる。ゴールデンウイークの開幕早々、2~3キロ台のマダコが舞った。「例年スタートはいい。その後、200~300グラムの小型の数釣りとなり、ひと潮ごとに成長したキロ級が6月下旬あたりから乗り始めるいつものパターンになっている」と宮川船長は言う。
エギも同じ傾向だ。「場所によって良型が乗ってくる。大きければ確実に1~2キロはある。昨年に比べて型はいい」(小峯船主)、「数は少ない分、よけいに型物が出ている」(太田船主)。こちらはアオリイカ釣りよろしく、エビなどに似せた和製ルアーのエギ(3・5号が標準)の付いたオモリを着底させ、底をはわせる。不意にオモリの動きが止まれば獲物が乗った合図。そこでの「おさわり」に対して慌てて合わせず、ゆっくり5つ数える。エギを十分に抱いたと判断したらゆっくりと合わせる。これが型をみるコツ。
テンヤと違い、こちらはチョイ投げもできる。道糸を張らず緩めずの状態にして、ズルズルと底を引く。広範囲に探れるのも大きい。通常2個装着するが、釣り人によってはエギを6個も7個も付ける。8本足があるから、数を増やせば乗る確率が上がるとの考えだが、根掛かりした場合のリスクも高いことをお忘れなく。
タコを上げるには、ひたすら小突く。あきらめずに小突く。「大きさは運です」(宮川船長)。信じれば向こうから乗ってくる。
7年ほど前、東京湾はマダコフィーバーにわいた。以来、確実に夏の釣り物として人気を博している。今季も7月末から8月半ばあたりまで「大ダコ祭」は続きそうだ。
冷凍保存1年持つ
軟体動物のマダコは1ミリでもすき間があったら大脱走を試みる。釣れたらネットに入れて口を固く結ぶ。みや川丸の場合、貸しテンヤ、貸し渋糸で持ち帰り用のネットも付いているが、小峯丸のように各自持参の船宿もあるので、そこは要確認。ファスナーの付いた洗濯ネットが使いやすい。
ポイントを移動する際や港へ帰った後、頭を返して内臓とスミ、目玉、クチバシを除いて下処理する。スーパーで精肉や豆腐などを買った時に入れるビニール袋に入れて冷凍保存すると、1年は持つ。食べたいときに解凍し、水道水で流せば、ヌルは洗い落とせる。
釣ってすぐ食べたい場合、粗塩や米ぬかを用意する。これをまぶしてヌルを取る。
この時期の釣りは、暑さ対策を万全に。釣りに夢中になって気づけばフラフラという人もいる。帽子や首を冷やすネックリング、ファン付きのベストなどで涼しく。飲み物は多めにして、麦茶やスポーツドリンクなどでの水分補給、塩分タブレットも忘れずに。
エギタコでは、よくスプレーを持参する人がいる。船の中でスプレーすると滑りやすくなって、乗船者のケガのもとになり、危ない。スプレーする時は必ずエギを船べりよりも外に出してふきかける。
※出船時間や料金、港の場所などの詳細は、サイトでチェックするか、各宿に直接確認してください。
50センチ超ブラックバスが各地でヒット中
淡水でも「一発ホームラン」が狙える魚種がある。ブラックバスだ。場所により50センチ超級が出ている。まずはこの時期の習性を探ることが、バスに乗り遅れずヒットさせる近道だ。
■茨城・新利根川
放卵したバスが体力を回復させるため、荒食いを見せている。エサとなるテナガエビや小魚類の幼魚もふ化したばかりで、浮草の下にいる。これを捕食しようと上目遣いに狙うバスをスノヤワラあたりの表層で狙う。ノーシンカーや野良ネズミ、スピナーベイトなど、日によってヒットルアーは変わってくる。「広範囲に狙えるので、有効なルアーや誘い方を探り当てれば、デカバスのチャンス。梅雨明けまでは狙える」(「松屋」松田健一店主)。
■山梨・河口湖
水草や藻が生えている浅場のウィード周り、身を隠せて水通しがいい岩盤地帯などがある障害物周りがいい。空梅雨による渇水に加え、田んぼへの水を回すため、水位が落ちている。これが考えるヒント。水量があって、エサも豊富な場所にバスはいる。「特にウィードの生育がいい大石ワンドは大型が目立つ」と、「ハワイ」の渡辺一孝店主は言う。このほか、広瀬ワンド、ハワイ前、信号下から産屋ケ崎(うぶやがさき)にかけてや、河口湖大橋の橋脚周りなど、各所にポイントが点在している。6月30日には放流バスも入れた。こちらはクランクベイト、スピナーベイト、サスペンドミノーなどの巻き物系で攻める。浅場の大物はラバージグ&ポークでピンポイントの一撃だ。「小魚の群れが回遊したり、風の出始めで警戒心が薄れた時にタイミングが合えば、面白い」(渡辺一孝店主)
■山梨・西湖
河口湖同様、渇水気味だ。「過去5年で最も水位が低い」と「白根」の渡辺安司店主が言うほど、水位が低い。沖のブイ周りなどで風が吹いて警戒心が薄れたり、エサとなるワカサギが回遊して表層で捕食している光景に遭遇したら、チャンスタイム。「ワカサギが弱ったような演出でフローティングミノー、ペンシルベイト、ポッパーなどで誘いをかけてみる。やる気のあるバスが興味を示せば、ヒットの確率が高くなります」(渡辺安店主)。










