「アニキ」こと俳優哀川翔(64)がこのほど、横浜市にある金沢八景「太田屋」(佐藤楓船長)で行われた今年最後の「第5回ニッカン釣りちゃんカップ」に参戦した。


昨年8月、千葉県富津市の金谷「光進丸」に続き、約1年4カ月ぶりに乗船し、ゲストでタレントの太田唯とアジ釣りを楽しんだ。食いが渋い状況のなか、ライトタックル(LT)で20センチ級を3匹確保。LT、バーチカルコンタクト(バチコン)で狙った参加者21人とともに、「どうやったら釣れるのか?」と正解を探りながら、本命をゲットした。【赤塚辰浩】

今年最後のニッカン釣りちゃんカップの参加者
今年最後のニッカン釣りちゃんカップの参加者

★LTで20センチ級3匹

「まいったなぁ。食わねえよ」。置きザオで誘っていた、右舷ミヨシから4番目のアニキがボヤいた。タナ(魚の遊泳層)さえピッタリ合えば、アジはブルブルッとアタリが手元に伝わり、サオの穂先を揺らしてくれるはずだった。西風が数日前から吹いて潮温が低下し、おまけに潮も動かない。冬場にありがちな「激渋」の状況だった。


開始約1時間後、アニキは動いた。ロッドキーパーに掛けていたサオを手持ちにする。この方がサオを自由に操作できるからだ。「下(海底)から2~3メートルに反応があります」という佐藤船長のアナウンスを聞きながら、小刻みに誘うことにした。


通常のLTなら、ビシが着底したら糸フケを取ってコマセを出す。1メートル巻き上げてコマセを出し、さらに1メートル巻いて、コマセを出して待つ。コマセを切らさず誘い続ける。この日は常識パターンが通用しないとみるや、釣り方も変えた。


「細かく、ゆっくりコマセを振り出しながら、ずっと同じペースで指示されたタナまで巻き上げた。しかも、底から5メートルくらい上まで」と振り返る。

金アジを釣り上げ絶叫する哀川翔(撮影・鹿野芳博)
金アジを釣り上げ絶叫する哀川翔(撮影・鹿野芳博)

ご機嫌がよくなったのか、アジは食ってくれた。ほぼ1時間に1匹のペースだが、思い出したかのように掛かった。しかも、最初は底から2メートルで食ったが、その後は3メートル、次は4メートルと上ずっていた。メインゲストの貴重なアジの確保劇。釣り上げるたびに船内が盛り上がった。


「ゆっくりした探りが当たりのパターンだった。ゼロじゃなくてよかったよ」。思わず本音を漏らした。

アジに始まってアジに終わるアニキの釣り。2025年の釣り納めとなった今回の釣行は、サオ頭でも9匹と全体にひと息だった。「その割には、みんな楽しくサオを出していたからいいんじゃないの。こういう時もあるよ。これも釣りだよ」。

アニキにはまた来年、いい釣りをしてもらいましょう。

激渋の中でもアジ釣りを楽しんだ哀川翔(左)と太田唯
激渋の中でもアジ釣りを楽しんだ哀川翔(左)と太田唯

■今季は少し遅れ気味 「太田屋」太田一也船主

「太田屋」の太田一也船主によると、八景沖のアジは「変わり目」という。「今季は少し遅れ気味で、深場に落ちている途中」と話す。釣りちゃん当日のように西風が吹いて潮温が低下すると釣果は芳しくないが、通常なら水深16~30メートルで、18~24センチの食べ頃サイズが平均20~30匹、条件が良ければ50~70匹と数が伸びる。時折49センチ、51センチといった大アジも交じる。

寒さが増せば、35メートル前後の深場までアジは落ちていく。「全体に小ぶりになるかもしれませんが、群れがまとまれば数釣りが楽しめると思います」(太田船主)。


▼大物「哀川翔さん賞」28・5センチ

■自作の仕掛け持参 細井惇平さん

最大魚に贈られる大物賞の「哀川翔さん賞」は、28・5センチを釣った細井惇平さん(34)に輝いた。午前10時30分ごろ、指示ダナの海底から2~3メートル付近まで仕掛けを巻き上げて食わせた。

細井さんは今年2月、同じ横浜市にある山下橋「広島屋」での第1回大会でもアジ27センチで大物賞を初めてゲットしている。この時は、大会1カ月ほど前に都内の釣具店で生まれて初めて購入した万能ザオに両軸受けリール、テンビン、ビシカゴなど一式そろえて乗船した。

28・5センチを釣り哀川翔さん賞の細井惇平さん(左)。中央は太田唯(撮影・鹿野芳博)
28・5センチを釣り哀川翔さん賞の細井惇平さん(左)。中央は太田唯(撮影・鹿野芳博)

今回はその道具に加え、初めて自作の仕掛けも持参した。「インターネットや動画を見ながら、ナイロン糸で1本とフロロカーボンで2本作りました。ネムリ針を外掛け結びにしました。内掛けは自分には難しかったです。針にはケイムラの塗料も塗りました」と言うほどの凝りようだった。

ナイロン仕掛けは途中で絡んでダメにしたため、フロロにチェンジ。すぐに大物賞のアジが来た。あとは15センチを1匹追加しただけだったが、「自分で作った仕掛けで釣れて良かったです」と笑顔を見せていた。


▼最多「太田唯ちゃん賞」9匹

■捕食の習性を利用 市川和樹さん

最も多くの匹数を釣った「太田唯ちゃん賞」は、9匹で市川和樹さん(31)と黒坂肇さん(52)が分け合った。

市川さんは「釣りちゃん」で初優勝。バチコンで狙った。アタリはあるが、食わない。そんなもどかしい状況が続いたなか、さまざまな工夫を凝らした。

まずは釣り方。カワハギのタタキ釣りのように激しくジグヘッド(0・5グラム)に付けた、長さ2~2・5インチ(約5~6・3センチ)のワーム(スチレンまたは塩ビ系の素材でできたソフトルアー)を動かして誘うか、海中でじっと漂わせるか、両方を試した。

「ワームの先だけくわえて、針まで来ていない。食い込ませるためにサオを左右に小刻みに2センチほど動かして、逃げるものを目標にして捕食するアジの習性を利用した」。こちらから食わせに行く釣法で数を伸ばした。

バチコンでアジを釣り上げた市川さん(撮影・鹿野芳博)
バチコンでアジを釣り上げた市川さん(撮影・鹿野芳博)

ジグヘッドはスズとタングステンを使った。スズでは全くアタリがなかった。「シルエットが大きいと判断して、小さめのタングステンにしました」。

ワームはピンク、チャート(蛍光イエロー)、クリアの3色で、それぞれラメ入り、ラメなし、淡いクリアのチャートラメの3タイプを用意した。クリアの青ラメが有効だった。

埼玉県八潮市の自宅に帰って、おかずにするためアジの腹を割いたところ、アミやシラス系の小魚が出てきた。「マッチ・ザ・ベイトで、使ったルアーとアジの食べているエサがピッタリ合ったのが良かった」。月に2~4回は釣行する中で経験した引き出しの多さが勝因となった。.


■うれしいゲストも 黒坂肇さん

LTの黒坂さんは、コマセと仕掛けに留意して数を伸ばした。

まずはコマセの巻き方。通常パターンだと、底から2~3メートルの幅でコマセの煙幕ができ、そこにアジが寄ってくる。「いつものパターンでは幅が広すぎる。集まっただけでおしまいになる。底から3メートルで反応があるなら、2メートル50センチ上まではコマセをまかずに巻き上げ、そこから50センチほど上までにしかコマセはまかないようにした。ピンポイントの小さい幅に寄ってきて、少しでも食い気のあるアジにエサを見つけてもらいやすくした」。ビシに詰めるコマセの分量も7~8割程度ではなく、5割程度。「少なく狭く」作戦にした。

ハリスもどんどん細くした。「こういう時に太いハリスだと不自然」と最初に使っていた3号を2号に落とし、最後は1・5号とした。「あれこれできればできるほど、食いが渋い時でも釣れる確率は高くなります」と話してくれた。

失敗したこともある。ケイムラを塗った針を使った時だ。約800グラムと丸々したマサバが食った。目指す本命ではなく、横走りして周囲の仕掛けとオマツリさせてしまうトラブルメーカーではあるが、釣り人の胃袋にとってはうれしいゲスト。塩焼きにして大根おろしと一緒に食べるとか、竜田揚げにしてビールのおつまみにするなど、使い勝手はいい。

「実はみそ煮にして食べたんですよ。特に腹の部分とか脂が乗ってうまかったですよ」。釣った人の特権でもある。

太ったサバを釣り上げた黒坂さん(撮影・鹿野芳博)
太ったサバを釣り上げた黒坂さん(撮影・鹿野芳博)