医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 糖質断ちダイエットなどが流行している。ぼくもちょっと太ったなと思ったときには、数日間、糖質をとらないようにしている。

 日本糖尿病学会は糖尿病の食事療法として、カロリー制限を勧めており、総カロリーの50~60%は炭水化物をとるように勧めている。脂質は少量でもカロリーが高いので、自然と脂肪の摂取量が減る。

 一方、アメリカの糖尿病学会は2004年、炭水化物、脂肪、タンパク質のうち、炭水化物だけが血糖値を上昇させると発表した。要するに炭水化物(糖質)が要注意なのだ。

 日本でも最近は、糖尿病の食事療法として糖質制限食が流行しており、日本糖尿病学会と議論が分かれている。

 ぼくは、糖尿病の患者さんにはまずカロリー制限食を勧める。しかし、会食や飲酒が仕事の一環になっている営業職や管理職の人の場合、なかなかコントロールが難しい。そんなときは、糖質制限食に切り替えてみると、けっこういいコントロールができる。

 コース料理で、しっかりと肉や魚を平らげても、パンやライス、最後のスイーツを食べないことにすればいい。

 また、極端に糖質を制限せずに、お米などの主食を3分の1の量にして、豆腐などの大豆製品や魚、きのこ、こんにゃく、海藻などを食べるように勧めている。

 糖尿病治療薬は年4000億円といわれている。糖尿病コントロールがもう少し良くなれば薬を使わずに済み、医療財政も良くなる。

 糖尿病や肥満をコントロールしたい人は、無理のない糖質制限をしてみてはどうか。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。