医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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☆テーマ「血圧高めの人はまずは生活習慣でコントロール」

 2015年、日本人間ドック学会が、150万人の人間ドック受診者から、血圧は147/94mmHgでも健康だと発表し話題になった。

 従来、日本高血圧学会では、140/90mmHg以上を高血圧症としてきた。日本ドック学会はその後、トーンダウンして、これで大丈夫といっているわけではないと言い換えてしまった。どう考えたらいいんだろう。

 ぼくはこう考えている。

 将来、動脈硬化を起こさないためには、やはり日本高血圧学会の出している数値を目標にするのが妥当だろう。

 ただし、すぐに薬を使いたがるのは注意しなければいけない。

 147/94mmHg未満の血圧高めの人は、安易に降圧剤を使わずに、生活習慣でコントロールしたほうがいい。運動する、減塩する、野菜をたくさん食べる、肥満を改善するといった生活習慣が身に付けば、高血圧以外の生活習慣病のリスクも少なくなるからである。

 日本は簡単に降圧剤を使いすぎる傾向がある。そういう風土のなかで、ノバルティス・ファーマ社の降圧剤バルサルタン(ディオバン)や武田薬品工業の降圧剤カンデサルタン(ブロプレス)が、虚偽の効果をうたったり、データを改ざんしたり、という不祥事を起こした。

 両社とも臨床研究にかかわった大学や研究機関に多額の寄付をしている。

 こうやって先進国のなかでも異常にたくさんの薬が使われる国であることも承知しておこう。

 ぼくなら、降圧剤を使うのは147/94mmHg以上の人にすると思う。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。