医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 免疫力は年齢とともに低下する。たとえば、帯状疱疹(ほうしん)というウイルス性の病気がある。ふつうは2度かからない。しかし、免疫がぼけてしまうと、同じヘルペスというウイルスが発症してしまうことがある。

 でも、年を取っていいこともある。加齢とともに免疫がぼけてくると、アレルギー反応は弱くなり、アレルギー鼻炎の症状などが軽快することもあるのだ。

 免疫力を上げるには、腸の健康を保つことが大事になる。2兆個の免疫細胞のうち6割が腸にあるといわれている。腸にいいものを食べるといい。

 その1つは食物繊維。キノコ、海藻、コンニャク、野菜などに豊富に含まれる。

 もう1つは発酵食品。納豆やチーズ、ヨーグルト、キムチ、みそ、こうじなどだ。

 長野県にはスンキという乳酸菌で漬けこんだ有名な漬物がある。関西のほうではアユ寿司(ずし)、北陸ではかぶら寿司などの発酵文化がある。各地の発酵文化はとても奥深い。

 オックスフォード大学は2015年11月、面白い研究を発表した。同じ種類の善玉菌をとり続けるよりも、種類が違ったほうが善玉菌が活性化し、免疫力が上がるというのだ。

 先週、「水戸の納豆」を食べたら、今週は「北海道の本別の納豆」というように変えてみるといい。ヨーグルトも同じメーカーのものだけでなく、ローカルな○○牧場のものなどを取り寄せてみてもいいのではないか。

 産地やメーカーを変えると、菌の種類も変わる。多様な種類の善玉菌がおなかのなかで競争していることが、免疫力を高めるということだ。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。