医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 白いご飯、白いパン、白いうどんは、血糖値を急激に上昇させやすい。血糖値が気になる人は、玄米ご飯や全粒粉のパン、うどんよりそばを選ぶのがコツである。

 でも、どうしても白いご飯が食べたいというときもあるだろう。そんなときはネバネバしたものを一緒に食べるのがお勧めだ。

 オクラ、モロヘイヤ、納豆、昆布。これらを刻んでまぜて食べるのもおいしい。なめこのみそ汁もいい。

 ネバネバの正体は、水溶性食物繊維。これは糖質の吸収を緩やかにして、食後の血糖値の上昇を抑える働きがある。ネバネバは腹もちもよく、食べ過ぎを防ぐ効果もある。

 ぼくは42年前から地域の健康づくり運動に取り組んできた。その経験から実感するのは、知識を得るだけでは意味がないということだ。「塩分は血圧を上げるので控えよう」といくら言っても、行動を変えられなければ、知識は宝の持ち腐れだ。行動を変える、つまり行動変容をどう促すか、が大事なのだ。

 人間は1度身に付けた習慣はなかなか変えられない。特に粘着質の人間は、人にいいよと勧められても、頑として変えようとしない。

 でも、素直な人は人の話に耳を傾けて、じゃ、やってみようかというサラリとした柔軟性がある。

 健康になるには、性格はネバネバしていないほうがいい。だけど、食べ物はネバネバがお勧め。

 そんな冗談を交えて笑いを誘いながら、健康づくり運動に取り組んできた。そうやって長野県は、旧来の生活習慣を少しずつ改善し、日本一の長寿県になったのである。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。