医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 日本は依存症大国といわれている。厚生労働省の発表によると、パチンコや競馬などギャンブルに依存している人が成人の約4・8%、536万人に上る。アメリカは1・58%、韓国は0・8%であるから、日本は際立って高い数字であることがわかる。

 ほかにもいろいろある。インターネット依存症421万人、アルコール依存症は年々増え続けて109万人に達している。

 依存症は3種類に大別される。1つ目はたばこやアルコールなど物質への依存。たばこもアルコールも依存症になってしまえば、断ち切ることは難しい。清原元選手の薬物依存もそうだ。それでも切れる。

 2つ目はプロセスへの依存といわれる。ギャンブルや買い物、セックス、インターネットなどの依存である。

 3つ目は人間関係の依存。恋愛やカルト宗教、DVなどへの依存が存在する。

 なぜ依存症になるのか。それは、快楽ホルモンと呼ばれるドーパミンがカギを握っている。

 たとえば、パチンコで大当たりしたとしよう。脳内にドーパミンが分泌され、人は気持ちよさを経験してしまう。そして、次もこの快楽を得ようと、パチンコ台に向かっていく。報酬系という。

 人間はこの報酬系によって、行動が強化されていく。人にほめられたり、ごほうびをもらえたりすると、がんばるようにできているのだ。

 依存症は、快楽ホルモンの暴走である。暴走を食い止めるには、自分ひとりの快楽からちょっと離れてみる必要がある。他者の喜びが自分の喜びと感じられるようにシフトすれば、快楽ホルモンは仕事や社会貢献のエネルギーとなるだろう。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。