医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

 ◇ ◇

 中高年になると、男女ともにトホホと頭を抱えたくなることがある。尿失禁である。

 中高年女性で多いのは、くしゃみやせきなどをした瞬間、ちょっとモレてしまうタイプの失禁。中高年男性では、トイレで排尿した後、尿道に残っていた尿がタラタラ出て、パンツをぬらしてしまうことが多い。50歳以上の3~4割の人が、このチョイ漏れを経験しているという。

 尿道の長さは女性が3、4センチなのに対して、男性は20センチととても長い。しかし、その間には前立腺という臓器があって、年齢とともに大きくなり尿道を圧迫してしまう。その結果、尿が長い尿道に残ってしまうのだ。

 男性のタラタラ漏れを防ぐには、どうしたらいいか。排尿の後、オチンチンをよく振ること。振り終わったら、こう丸と尿道の間のところに尿が残ることが多いので、ここを圧迫してやる。

 本格的な対策としては筋トレで予防するしかない。細いズボンをはくイメージで真っすぐに立つ。おなかをぐっと締め、おへそに力を入れて姿勢をキープする。腹筋と背筋を緊張させて筋トレになる。同時に、このとき肛門も締める運動を10回ほど繰り返すといい。肛門の周辺にある骨盤底筋群が鍛えられ、尿漏れを防ぐ効果が期待できる。

 尿失禁はだれにでも起こりやすいものだが、本人にとってはショックな出来事である。なかには、自信を失って、旅行や外出をあきらめてしまう人もいる。

 しかし、今は、アテントのスポーツパンツなどといった超薄型の衛生用品も出ている。それらを上手に活用しながら、チョイ漏れなんかに心が負けないことが大事だ。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。