医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

 ◇ ◇

 高血圧や糖尿病、脳卒中、がん、認知症など、さまざまな病気の予防に対して効果があるとされているのが、適度な運動習慣だ。

 思い立ってランニングを始めたり、ジムに通い出したりする人も多いだろう。しかし、最初の情熱は長続きせず、ついつい理由を見つけてサボッてしまう。三日坊主である。

 でも、仕事をしながら1時間に2分間だけの運動なら、継続できるかもしれない。

 おもしろい研究論文がある。米国のユタ大学が2015年4月に発表した。

 その論文によると、1時間座りっぱなしの後に立ち上がるだけでは健康効果はみられなかったが、2分間、軽い運動をすると心臓病などのリスクが低下し、死亡リスクが33%も低下するというのだ。

 軽い運動とは、歩く、ガーデニングをする、部屋の掃除をする、といったもの。これはデスクワークの人にも役立ちそうだ。1時間パソコンで書類を作製したら、2分間、オフィス内をうろうろ歩き回る。ちょっとはた迷惑なようなら、違う階のトイレまで速足で行って帰るのもいい。コピーをとりながら、足踏みやスクワットをするのもいいだろう。リフレッシュにもなって、仕事の効率も上がるのではないか。

 家ならもっと自由に動ける。ラジオ体操をしてもいいし、2分間だけ床掃除をしてもいい。家もきれいになって一石二鳥だ。

 高齢者は、生活不活発病になると、高血圧や糖尿病を発症したり、足腰が弱くなり全身が衰えやすい。その人たちにも、1時間に2分だけの運動なら、取り組みやすい。ぜひ、ご両親にもすすめてみてはどうだろう。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。