アンガーマネジメントは、衝動のコントロール、思考のコントロール、行動のコントロールから成り立っています。

 衝動のコントロールについてお話ししましょう。イラッとしたときに絶対やっていけないのは、反射的な言動です。売り言葉に買い言葉もそうですし、古くは2006年サッカーW杯ドイツ大会決勝イタリア-フランス戦でのジダンの頭突きも反射です。

 今日からはイラッとしても反射せず、まず待ってほしいと思います。どれぐらい待てばいいのでしょうか。アンガーマネジメントには6秒ルールがあります。怒りは扁桃体(へんとうたい)で生まれ、理性が介入するまで数秒かかるといわれています。これまで多くのクライアントと向き合ってきた中で、大体の人は6秒待てば落ち着きを取り戻し始めることが分かってきました。怒りのピークが過ぎ、反射的な言動で最悪の事態を招くことを避けることができる時間が6秒です。イラッとしたら、心の中で「1、2、3、4、5、6」とゆっくり数えて下さい。

 睡眠と脳の関係も分かってきました。睡眠不足になると、扁桃体が過剰反応します。一方で扁桃体をコントロールする前頭葉の活性は抑えられます。怒りの感情が暴走しやすくなるのです。

 十分な睡眠を取る。時間ではなく、質の高い睡眠が重要です。今は睡眠を記録するアプリもあります。自分がどれくらい寝ているのか測定することができます。遅い時間にカフェインは取らない、明かりをつけたまま眠らない、アプリも活用して睡眠の質を高めていってほしいと思います。