現在、健康・社会問題として最も注目されている1つが、「依存」である。元来「依存」とは医学の世界ではアルコールやたばこ、薬物といった物質に依存するものと、何らかの行き過ぎた行動で問題が起きているものの2つに大別されてきた。いずれもまとめて「嗜癖(しへき)」と呼ばれているが、これはなじみの薄い言葉として、一般にはあまり用いられていない。そこで通常、総じて「依存」として扱われることが多いのだが、そもそも「依存症」は物質を使用したり、ある行動により多幸感や快感を生み、それらを求めるがあまり、問題となることを指す。

 例えば飲酒ではコントロールができなくなる。何をしていてもギャンブルが頭にある。やめなければならないのに、どんどんお金をつぎ込んでしまう。それまでのレベルでは満足できず、もっとたくさんやらなければ我慢できない。そうした「耐性」による状況に陥るのが、「依存症」の考え方だといえる。そして依存の対象から離れると「離脱症状」(禁断症状)が起きて、イライラした「渇望(かつぼう)中心の生活」になってしまうのだ。

 2013年5月に発表された米国精神医学会の診断基準「DSM-5」では、「依存」という言葉が「使用障害」に代わり、「インターネット障害」が初めて治療の遡上(そじょう)に上ることになった。そして世界保健機関(WHO)は、「ゲーム障害(ゲーミングディスオーダー)」を新しい診断カテゴリーとして「嗜癖行動による障害」に加えることとし、来年には国際疾病分類「ICD-11」として正式に反映される予定である。

 ネット依存に詳しい「成城墨岡クリニック」墨岡孝院長がこう話す。

 「要するに医学的には2つの分類のうち、DSM-5でインターネットの病的使用障害に分類されている。そしてICD-11でも同様だということ。いずれにしても、すでにインターネット依存症は病気として治療の対象になっています。いずれにしても依存の構造であり、探索行動がギャンブルに依存するか、買い物なのか、ネットなのかという違いなのです」。