ネット依存症治療に詳しい「久里浜医療センター」樋口進院長に聞いた。

 ◆質問 「ゲーム依存」の“主役”は?

 樋口院長 ゲームにはまっていて当院を受診するようなケースは、6~7割が未成年者です。本人たちは学校に行かなければならないのに、ゲームのやり過ぎで行けない、大幅に成績が下がってしまった、退学したなどのほか、注意した親に暴力を振るったということもあります。また、生活が大きく乱れ、昼と夜が逆転したり、食事を十分に取らず、栄養が不足するなど、いろいろです。それらがゲームの過剰による問題であって、ゲームにまつわる依存行動と合わせて「ゲーム依存」を構成しています。

 さて、ゲーム依存は来年出版される世界保健機関(WHO)による「国際疾病分類第11版」で、新たに「ゲーム障害」という名称で加わります。つまり、国際的に認められた診断ガイドラインに、初めてインターネットの一部が入るということになるのです。

 ◆質問 「スマホ依存」をどうとらえるか?

 樋口院長 私たちの「インターネット外来」を受診する9割が、ゲームにはまっています。そのほぼ全員がオンラインゲームです。オンラインは、すなわちインターネットだということです。実際には、インターネットの中のゲームにはまっているのがほとんどだといえます。

 さて、その中で最も大きな影響があったのは、やはり「スマホ」でしょう。スマホによってインターネットを四六時中持ち歩けることで、SNSがものすごく増えたわけです。SNSにはまっている人は大勢いますが、周囲が本人を病院に連れてくるほどだとは、だれも思っていません。

 ゲームにはまって明らかに生活時間がおかしい場合と、何が違うのでしょうか。世の中にはSNSにはまっている人がたくさんいるのに、病院に来ない(連れてこられない)。来なくてもいいのかというと、そうではないと思います。SNSの使い過ぎが生活に影響し、破綻していたらやはり大問題でしょう。