<心筋症(4)>

 心筋症は、何らかの原因で心臓の筋肉である心筋に変性が生じ、心臓の働きが悪くなってしまいます。症状に気付いたときには、心筋症がかなり進行しているケースが少なくないのが現状です。

 診察で心筋症と診断されると、まずは内科での薬物療法、生活指導、食事療法となります。ここで用いられる薬物療法は、ここ20年間で大きく進歩しました。心筋症の5年生存率を50%から80%に引き上げた治療とあって、評価は高くなっています。

 その代表的な治療薬を紹介しましょう。心筋がゴム風船のように拡張して伸びきってしまう「拡張型心筋症」では、「利尿薬」の他、心臓の負担を少なくして心不全を良くする「ACE阻害薬」、心筋の酸素消費量を減らす「β遮断薬」が使われます。実際に症状が改善するだけではなく、生存率がはっきりとアップしたのが分かっています。これ以外にも、さまざまな薬が有効だと分かってきました。ここは主治医としっかり話し合い、より患者さん自身に合う薬を選択すべきでしょう。

 また、服用している薬は、基本的には一生飲み続けることになります。薬を飲み忘れることなく、しっかり続けましょう。仕事の多忙を理由にしたからと言って、薬を飲まなくていいということにはなりません。これは生命に関わることであることを忘れてはいけません。わからないこと、疑問などはしっかり主治医に聞きましょう。そして、心筋症患者としての生活習慣の指導を受け、それもしっかり実践しましょう。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)