卵にはコレステロールが多いので、食べ過ぎは体に悪いとされてきました。実はこれ、草食動物のウサギに食べさせた1913年のロシアでの実験結果をもとにしています(ウサギのコレステロール値が上がってしまった)。

 人間はウサギと同じ草食でしょうか? そう、違いますよね。人間は雑食なので、卵を食べても大丈夫です。健康な人には血液中のコレステロール値を一定に保つ働きが備わっていますが、ウサギにはそれがないのです。

 81年に日本で行われた調査で、1日5~10個の卵を5日間連続して食べるというのがありましたが、コレステロール値は変化しませんでした。

 日本卵業協会のホームページでも、結論として「個数に制限はない」といっています。「何個までなら大丈夫」とは言い切れませんが、健康な人であれば、毎食1個卵を食べても、特に問題はないのです。

 厚労省が、「コレステロールが多い食品を食べても血中のコレステロール値には影響はない」として、15年には食事摂取基準からコレステロールの上限値を撤廃しました。

 実は、血液中のコレステロールというのは、肝臓で作られるのが80~90%で、食事によるものは残りの10~20%だけだからです。つまり、コレステロールの高いものをたくさん食べたからといって、血中コレステロールが高くなるわけではないのです。体内の悪玉コレステロールが増える理由は、運動しないことが1番の原因です。

 また、オリーブオイルやアマニ油、エゴマ油といったオメガ3系、そして青魚などに含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などを取ることで、肝臓がつくるコレステロールが安定化し、血管の病気を少なくしてくれる効果が期待できます。

 ◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビではコメンテーターのほか、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など人気番組の医療監修も数多く務める。著書は「今すぐ『それ』をやめなさい!」(すばる舎)「ダイエットはオーダーメイドしなさい!」(幻冬舎)「ねぎを首に巻くと風邪が治るか?」(角川SSC新書)など。気分転換は週2回のヨガ。