前立腺の病気といえば、ことに中高年男性には悩みの種。それでいて前立腺の構造や働き、病気の原因、治療など知られていないことも多いのが実情です。ここでは、日本大学医学部泌尿器科学系主任教授の高橋悟氏(59)が、前立腺肥大症、前立腺がん、ED(勃起障害)などについて、わかりやすく説明します。

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ED(勃起障がい)を診断する場合の分類として「SHIM(シム)スコア」があります。正式には「Sexual Health Inventory for Men」。これは患者さん本人にこの問診票を渡し、そこに記された質問(5問)に自己申告で答えてもらうもの。選んだ番号がそのまま点数となり、合計点数でEDの度合いを計ります。

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この6カ月に、

(1)勃起してそれを維持する自信はどの程度あったか

1 非常に低い

2 低い

3 中くらい

4 高い

5 非常に高い

(2)性的刺激によって勃起した時、どれくらいの頻度で挿入可能な硬さになったか

0 性的刺激はなかった

1 ほとんど、または全くならなかった

2 たまになった(半分よりかなり低い頻度)

3 時々なった(ほぼ半分の頻度)

4 しばしばなった(半分よりかなり高い頻度)

5 ほぼいつも、またはいつもなった

(3)性交の際、挿入後にどれくらいの頻度で勃起を維持できたか

0 性交を試みなかった

1 ほとんど、または全く維持できなかった

2 たまに維持できた(半分よりかなり低い頻度)

3 時々維持できた(ほぼ半分の頻度)

4 しばしば維持できた(半分よりかなり高い頻度)

5 ほぼいつも、またはいつも維持できた

(4)性交の際、性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難だったか

0 性交を試みなかった

1 極めて困難だった

2 とても困難だった

3 困難だった

4 やや困難だった

5 困難でなかった

(5)性交を試みた時、どれくらいの頻度で性交に満足できたか

0 性交を試みなかった

1 ほとんど、または全く満足できなかった

2 たまに満足できた(半分よりかなり低い頻度)

3 時々満足できた(ほぼ半分の頻度)

4 しばしば満足できた(半分よりかなり高い頻度)

5 ほぼいつも、またはいつも満足できた

点数化する際、設問2~5に0点があり合計最低点は1点、最高点は25点で、21点以下がEDと分類されます。EDの重症度は点数により分類され、1~7点が「重症」、8~11点が「中等症」、12~16点が「軽症ないし中等症」、17~21点が「軽症」です。加えて診察や検査を必要に応じて行い、診断します。

◆高橋悟(たかはし・さとる)1961年(昭36)1月26日生まれ。日本大学医学部泌尿器科学系主任教授。85年群馬大学医学部卒。虎の門病院、都立駒込病院などを経て05年(平17)から現職。東大医学部泌尿器科助教授時代の03年、天皇(現上皇)陛下の前立腺がん手術を担当する医療チームの一員となる。趣味は釣り(千葉・飯岡沖の70センチ、3キロ超のヒラメが釣果自慢)と登山、仏像鑑賞。主な著書に「ウルトラ図解 前立腺の病気」(法研)「よくわかる前立腺の病気」(岩波アクティブ新書)「あきらめないで! 尿失禁はこうして治す」(こう書房)など。