メンズヘルス外来を受診して総合的な診察を受け、一般的に「男性更年期障害」と言われている「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」と診断されると、治療になります。

治療には複数ありますが、まず中心となるのは「テストステロン補充療法」。これは減少した男性ホルモン(テストステロン)を筋肉注射で補充する方法です。

アメリカでは筋肉注射だけではなく、肌に塗るジェル状の薬や経口薬もありますが、それらの治療薬は、日本では保険適用にはなっていません。

ホルモン補充療法の筋肉注射は、通常2週間おきに行うことで効果が得られます。効果が早く出る人は、たった1度のホルモン補充療法で自覚症状が消えてしまったケースも経験したことがあります。ただ、一般的には6カ月から1年の治療を受けて、LOH症候群から立ち直る患者さんが多い。

治療中は、患者さんの状態をしっかりチェックしながらの対応が重要です。LOH症候群の診断に不可欠な「AMSスコア(LOH症候群の症状スコア)」を2カ月ごとに患者さんに行ってもらい、改善度をしっかりチェックしながら治療を進めます。

その改善度は、当然患者さん自身もよくわかって、「気持ちが前向きになってきました」と話されます。そして、「朝立ち」のことを聞いてみると、「朝立ちが起きてきました」と。この言葉を聞くと、「しっかり改善してきている」と、私たちも判断できます。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)