■生活不活発病になるな

東日本大震災の被災地では、「生活不活発病」というのが広がりました。避難所で、朝なかなか起き上がれない人たちが増えたのです。

被災地に支援に入った時、体育館で朝みんなに声をかけて、ラジオ体操をするようにしました。生活不活発病を防ぎたかったからです。

同時に、宮城県石巻に2つの無料入浴施設を開設し、1年ほど続けました。避難所にずっとこもっていないで、毎日お風呂に入りに来ることで、不活発病を防げると思ったのです。

■働ける人は働こう

このお風呂は、ボランティアで運営することもできたのですが、被災者の方にお金を払って、仕事としてやってもらおうと考えました。わずかなお金でも、仕事を得た人たちは、精神的にもいち早く立ち上がることができました。

今、コロナで厳しい状況が続いていますが、たとえ条件があまり良くなくても、とにかく働くことが大事だと思います。

46年前、ぼくは長野県茅野市にやって来て、健康づくり運動を始めました。やがて長野県は平均寿命日本一になりました。

長野県の高齢者の就業率は日本一。給料が安くても、働いていることが生きがいになっていたのです。これが長寿に一番影響を与えていました。

■今こそ運動が大事

東日本大震災の後、糖尿病、高血圧、生活不活発病を予防することが大変でした。ウィズコロナの時代も、この3つに注意することが大事です。

◆テレビ、ラジオでもおなじみの医師で作家の鎌田實氏が、長引く新型コロナウイルスの感染症との付き合いで、私たちにできること、いかに困難と向き合っていくか、じっくりとお伝えしていきます。