からだとこころの健康はつながっている。帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授らの研究では、うつ病患者で朝食を食べない人のほうが多い。

「朝食を食べると肝臓などに栄養が運ばれるわけですが、すると体内にある時計遺伝子がリセットされます。うつ病の治療に光を浴びると脳の時計遺伝子がリセットされて良いということが一般的に知られています。それと同様に朝食を食べて体の時計遺伝子がリセットされると、日中の活動モードに入ることができるわけです」

とくに午前中のパフォーマンスが上がり能率もよくなるという。

「夜はぐっすり眠れ、昼間は元気に活動できる。このような状態になるとパフォーマンスが上がります。すると、もっとよく眠れるという好循環になるわけです」

夜の食べすぎもよくない。

「夜は貯蔵する遺伝子が活性化して脂肪がたまりやすくなります。寝る前はとくに食べないほうがいい。太り過ぎになります」

内臓脂肪の付きすぎはうつ病にもかかわる。

「脂肪細胞が脂肪分でパンパンに膨らむと、炎症性サイトカインが放出されて慢性的な炎症を引き起こすと考えられています。たとえば感染症のような炎症が起きると気分が憂鬱(ゆううつ)になり頭や体の働きが鈍くなる。炎症性サイトカインは気分の安定、睡眠に欠かせない物質の産生を減らすことも知られています」

糖尿病に多いインスリン抵抗性が脳機能によくない影響を及ぼすといった研究もあるという。