日常の食生活を送る中で不足してしまうと「うつ病」のリスクを高める、欠かせない栄養素がある。「こころに効く精神栄養学」(女子栄養大学出版部)の著者で帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀(くぬぎ)浩主任教授は次のように指摘する。

「まずはビタミン。おもにビタミンB1、B6、B12、Cなどの不足はうつ病と関連することが知られています。ビタミンDの血中濃度が低いとうつ病のリスクを高めるといわれています」

ビタミンが欠乏すると、うつ病になりやすい-。とりわけビタミンDには小腸と腎臓でカルシウムとリンの吸収を促す働きがあり、骨や歯をつくるのに欠かせない。それらが欠乏することで子どもの骨格異常(クル病)や大人の骨軟化症の発症につながる。加えて高齢者では介護の一因である骨粗しょう症や骨折のリスクを高めることが知られている。

功刀主任教授が続ける。

「ビタミンDは脳機能にも重要で脳内の神経伝達物質であるドーパミン、ノルアドレナリンを作り出すために必要な酵素の発現を高めます。神経栄養因子を増やすともいわれていて、酸化ストレスから脳を守るはたらきも指摘されているのです」

ビタミンDは日光浴をすると皮膚でつくられるほか、食事を通して体内に取り込まれる。日照時間が短くなる冬から初春はより積極的に摂取したい栄養素だ。食品ではサンマやウナギなどの魚介類のほか、シイタケ、マイタケなどキノコ類に多い。