行動変容外来で行うのは大きく次の3段階です。

<1>マインド(意識)を変える

<2>自分を知り、どうありたいかを考える

<3>自分にちょうどいいことを習慣化する

マインドについては前回紹介しました。事実、マインドを変えてから健康マネジメントを始めると、成功体験を積み重ねていけます。

そして「自分を知り、どうありたいかを考える」ためには、自分自身の知っているつもりの性格を正しく知るべきです。そのために、看護師が中心となって、患者さんの日常生活、仕事や家庭の状況、価値観、将来どうありたいかなどのヒアリングを行います。

そして、アメリカで開発されたNEO-FFIと呼ばれる「性格診断テスト」を受けてもらいます。患者さんの性格や傾向を把握し、生活習慣の改善に生かすためです。

この性格診断テストは高い確率で当たります。その結果を見ながら患者さんと話すと、「私の性格はそう出ているのですか?」と話がはずみます。もちろん、それに合わせて私たちの患者さんに対するアプローチの仕方も1人ひとり違ってきます。

たとえば、テスト結果から「物事を計画的に考える性格の患者さん」の場合です。生活習慣の改善策を話すときには、書面を渡して筋道を立てて話します。ダイエットの方法については、食べた物とエネルギー量を記録する方法が向いているのでは、と。まさに患者さん1人1人に合わせた診療を行っているのです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

◆横山啓太郎(よこやま・けいたろう)1958年(昭33)生まれ。63歳。慈恵医大晴海トリトンクリニック所長。東京慈恵会医科大学卒。日本腎臓学会、日本透析学会でガイドライン策定の中心的な役割を演じ、薬物療法の効果と限界を痛感し、2016年(平28)に日本の大学病院で初めての行動変容外来設立。新しい試みを「健康をマネジメントする」などの著書で発信し、薬のみに頼らない健康メソッドを科学的に体系化している。21年から東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学教授も兼務。