生活習慣病を知る4つのマーカーは、これまでに紹介した<1>体重<2>血圧<3>血糖<4>脂質。この4つが基本的に中心になり、これらが重なり合っているのです。

この4つは新陳代謝が落ちたときに変化するもので、カロリーが消費できなくなると太ってしまいます。脂質を処理できなくなると脂質が上昇し、糖が処理できなくなると血糖が上がります。高血圧の中には塩を処理できなくなることが原因となる場合があります。その4つのマーカーを組み合わせて評価することが大切です。

健康診断でも、その中の1つの数値だけが異常値の人より、4つが正常値ぎりぎりの人の方が身体に悪い場合があります。

また、毎年のデータの推移を評価することが大切です。血圧にしても高値正常の人よりも、若いときは血圧が低かったのに今は正常値ぎりぎりになっている人の方が、実は身体には悪い場合もあるのです。このような人は、年を重ねるともっと血圧が上昇するので、腎臓が悪化するといわれています。つまり、自分の身体がいかに変わってきたのか、トレンド(動向・傾向)で見ることが大事です。

タテの糸とヨコの糸です。タテ軸は若いときの数値から、今、どのように数値が動いていくのか。時間的な軸がタテ軸です。ヨコ軸は4つの指標が同じように動いているのか、1つだけなのかということ。つまり、4つを総合すると身体全体の変化で、よくないというのです。このように全体的にみていくことが重要ポイントで、ここは決して忘れないでください。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

◆横山啓太郎(よこやま・けいたろう)1958年(昭33)生まれ。63歳。慈恵医大晴海トリトンクリニック所長。東京慈恵会医科大学卒。日本腎臓学会、日本透析学会でガイドライン策定の中心的な役割を演じ、薬物療法の効果と限界を痛感し、2016年(平28)に日本の大学病院で初めての行動変容外来設立。新しい試みを「健康をマネジメントする」などの著書で発信し、薬のみに頼らない健康メソッドを科学的に体系化している。21年から東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学教授も兼務。