「生活習慣病にならない、また改善できるという運動量の目安はどれくらいですか」

このように、患者さんからよく質問されます。基本的な体質や今の体の状態、そして、生活環境は個人によって異なっています。だから「このように運動をすると、生活習慣病にはなりません! 改善できます!」とは、残念ながら言えません。

ただ、医学的根拠のあるところから目安をあげることはできます。ハーバード大学の研究グループが学術雑誌で報告したもの。「1日の歩数が4400歩くらいの人でも、2700歩程度の人と比較すると、死亡リスクが41%低い」ということです。

1日最低4400歩であれば、通勤している人の会社が、最寄り駅から徒歩10分くらいのところにあれば、往復で2200歩。加えて自宅もそれくらいのところにあれば、合計4400歩に。ところがコロナ禍の今はテレワークが多く、歩数が増えません。だからこそ、自宅にいても運動では外出し、できることなら1日7000~1万歩を目指してほしいと話しています。

また、WHOは次のような運動を推奨しています。「1週間あたり150分以上の中等度の運動、または75分以上の高強度の運動」「体幹に近いところの筋肉群のトレーニングを週2回以上行う」。中等度の運動とは、単なるウオーキングではなく少し息が弾む早歩き。そして、高強度の運動は息があがるくらいの運動です。高強度の運動はスクワットがお勧めです。運動は、週150分の早歩きにスクワットを加えるのが1つの目安と言えるでしょう。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)