■「老い」を廃品のように思わないことが大事

こんな笑い話を聞きました。ある老人ホームでの話です。

入所している老人たちは、「老い」や「死」を話題にすることを避けている。それは良くないんじゃないか。今日は入所者と、「老い」について話をしようと、2~3人のご老人が、散歩しておられる後ろから、「おい、おい(老い、老い)」と声をかけたら、皆すっと横を向いてしまった。

その後、3~4人の老人が雑談をしていたので、この人たちと「死」について話し合おうと近づいたら、人さし指を唇に当てて「シー(死)」と言われてしまった。笑ってしまいました。これが現実です。

人間は皆「老い」も「死」も現実に必ずやってくるのに、避けようとしがちです。でもユーモアにまぶして言うことで、もっと「老い」や「死」を考えておく必要があることに徐々に気が付いていくのです。ユーモアには、緊張緩和やコミュニケーションを広げ、流れを変える力があります。

■「老い」は人生の完成

「老い」を、いずれ回収される廃品のように、何か壊れていく経過や結果だと思い込んでいる人が多いのですが、物事を深く理解することができるステージへ上がっていくことだと思います。

つまり、「老い」に価値を与えることによって「老い」に対する受容・納得がしやすくなるのです。「死」は人生の終わりではなく、完成と考えるようにしています。