前立腺肥大症の手術で前回は最も広く行われている手術の「TURP(タープ=経尿道的前立腺切除術)」を取り上げました。今回は「TUEB(チューブ=経尿道的前立腺核出術)」を取り上げます。

TUEBは尿道から切除鏡(内視鏡)を挿入し、電気メスのセットを使って前立腺を核出する手術。核出するというのは前立腺をくりぬくということで、前立腺の内腺をすべてくりぬきます。そして、くりぬいた内腺は、ぼうこう内に落とします。ぼうこう内に落とした内腺は、そこで細かく砕いて吸引して外に出します。前立腺をくりぬくこの手術は、長期成績はよく、再発率も少ない、と評価されています。

もちろん、この手術でも術中にかん流液は使われますが、生理食塩水を使うので低ナトリウム血症を起こすことはほぼありません。低ナトリウム血症は血液中のナトリウム濃度が低い状態。そうなると悪心・嘔吐(おうと)が出てきて、進行すると血圧低下や意識障害に陥ります。この手術ではその心配がほぼありません。

そして、TURPではそれほど大きくなっていない前立腺肥大症が対象となります。一方、前立腺をくりぬくこの手術は、大きな前立腺肥大症患者さんの手術に向いています。より手術がやりやすい。さらに、尿が出せない尿閉の状態になっている患者さんも、この手術の対象になります。核出した前立腺を細かくして外へ出すため、TURPと比較すると時間がかかります。手術時間は2時間、主に入院で行われています。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)