食欲の秋は店頭や飲食店のメニューに魅力的な食材や料理が並び、つい食べ過ぎてしまうことがある。食べる量に合わせて運動量も増やせられればよいが、そのバランスをとるのは難しく、体重はあっという間に増える。さて、このとき肝臓にも脂肪がたまっている可能性が高い。脂肪肝だ。

「もともと多量飲酒に伴う脂肪肝の人は多いのですが、近年、飲酒量が控えめな非アルコール性脂肪肝の人が増えています。肥満の人でなくても脂肪肝になります。太っていないのに非アルコール性脂肪肝の人もいるのです」と、東邦大学医療センター大橋病院消化器内科の渡邉学教授。長年、肝臓病などの診断・治療を数多く行っている。

脂肪肝は、肝細胞の5%以上に脂肪がたまった状態。多量飲酒を続けていると、肝細胞がダメージを受けて脂肪がたまりやすくなる。一方、食べ過ぎで体内に余分な中性脂肪が増えても、肝臓に脂肪はたまる。

「本来、肝臓は脂肪をためる組織ではないため、脂肪肝の状態が続くと炎症が起こることがあります。肝炎、その先に肝硬変・肝がんの道がつながるのです。早い段階で脂肪肝は解消しましょう」

余分な脂肪を燃焼させるには、食事量を控えつつ、運動習慣が欠かせない。1日8000歩などを心掛けながら、暴飲暴食を止めることが重要になる。

「数日ダイエットしただけでは、脂肪肝の改善は難しい。腹八分目と日々の運動習慣を心掛けましょう」と渡邉教授はアドバイスする。