食べ過ぎや飲み過ぎは、2型糖尿病など生活習慣病を後押しすることはよく知られている。生活習慣病は初期段階では無症状ゆえに、食生活の見直しは難しい。

そんなある日、右わき腹やみぞおち付近に激痛が走り、発熱、黄疸(おうだん)の症状に見舞われる事態に。胆石症の発作だ。

「胆汁が固まって石のようになるのが胆石です。胆道をふさぐことで激痛などの症状を引き起こします。特に暴飲暴食の後は起こしやすいので注意が必要です」と、東邦大学医療センター大橋病院消化器内科の渡邉学教授。肝臓や胆のうの病気の診断や治療を得意とし、数多く行っている。

胆汁は消化液の一種で、肝臓で作られ胆道を通って胆のうにたまり、食後に胆のうが収縮して胆汁を十二指腸へ送り出す。この胆汁が固まって結石になるのが胆石症だ。

「胆道をふさいでいた胆石が自然に取り除かれると、痛みや発熱はほどなく治まります。しかし、ふさいだ状態が続くと、胆汁の色素の影響で、皮膚や白目などが黄色くなる黄疸(おうだん)、茶色の尿、白い便など、ご本人も驚くような症状が現れます」

便が茶色いのは主に胆汁の色。胆道がふさがれて胆汁が流れなくなると便が白くなり、出口を失った胆汁が血液に流れ、黄疸や茶色の尿につながる。

「知らぬ間に胆のうに胆石がたくさんたまっている方もいます。そういった方が暴飲暴食などで食生活が乱れると発作につながります。偏った食事内容は見直しましょう」と渡邉教授は話す。