暴飲暴食は肝臓や胆のう・胆管によくないことを前回までに紹介した。では、脂肪肝や胆石症を防ぐ食事とは何か。

「肝臓や胆のうを守る料理としては『地中海食』がお薦めです。コレステロールがたまりにくく胆石症の予防につながり、糖質も少ないため脂肪肝にもなりにくいのです」と話すのは、東邦大学医療センター大橋病院消化器内科の渡邉学教授。肝がんや胆のうがんなどを含め、肝臓病や胆のう・胆管の病気について、診断・治療を数多く行う。

地中海食は、地中海沿岸の伝統食で、オリーブオイル、魚介類、野菜、全粒穀物などを使った料理のこと。世界各国で疫学研究が行われ、心筋梗塞やがん死亡率、アルツハイマー病などのリスクが、他の西洋食よりも低いと報告されている。

「魚の脂に含まれるEPAやDHAの不飽和脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を下げるとの研究報告もあります」

焼き肉でガッツリご飯を食べるのはおいしいが、毎日はよくない。魚料理や豆腐などの植物性タンパク質、ビタミンやミネラルの豊富な野菜もバランスよく食べることが大切。

「コーヒーは胆石症の予防に役立つといわれています。飲み過ぎはよくありませんが、1日2~3杯程度ならば、健康に寄与するのではないかと思っています」

予防を心掛けつつ、健康診断で腹部超音波検査を受けていると、脂肪肝や胆石症などの早期発見につながるという。健診も転ばぬ先のつえとして活用しよう。