がんの進行具合はステージ(病期)で表現します。乳がんの場合は0~4期までの5段階で、「しこりの大きさ」と「脇の下のリンパ節転移の有無」によって分類がされています。

ステージが早いほど治る確率が増えるので、リンパ節への転移のない段階で見つけましょう。乳がんを発見したときの最も多いステージは、1期、2期で70~80%。それより早期の0期で発見される方は15%程度です。このように、乳がんの多くは早期に発見されています。自分で胸を触って発見できるのは、しこりが2~3センチのケースが多い。ステージにすると2A期、もしくは2B期。この2期までに発見できると、完治の確率が高くなります。それがもう1段階進行して3期になると、完治とはいかないケースも出てきます。

とはいえ、5年生存率でみると、4期で発見されても20~30%程度にもなるのです。進行がんといわれる4期でも20~30%の患者さんは5年生存されているのです。これは他のがんでは考えられません。

乳がんはステージも重要ですが、それ以上にどのタイプかが重要になります。タイプ分けのカギになるのが「たんぱく」で、それを調べることで「ルミナルA」「ルミナルB」「ルミナルHER2」「HER2陽性」「トリプルネガティブ」の5つのタイプに分けます。治療法を選ぶ時には、これが最も重要です。ステージが進行していても、がんのタイプで治療薬を選択することで、完治するケースも出てきました。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)