内科外来で高血圧の人をよく診ますが、ときどき、2種類の薬を処方しなければならないような、難治性の患者さんがいます。多くの場合、睡眠はとっているのに、疲れがとれないと訴えます。こうした患者さんは、睡眠時無呼吸症候群を疑って、検査をしています。

睡眠時無呼吸症候群になると、睡眠中に10秒以上の無呼吸が1時間に5回以上あります。血液中の酸素量が欠乏し、心臓や脳に負担がかかり、脳卒中や狭心症のリスクを高めます。血圧や血糖値が高くなり、糖尿病の引き金になる場合も珍しくありません。

<睡眠時無呼吸症候群の治療で、睡眠が改善>

睡眠時無呼吸症候群は、シーパップ(マスクを装着して持続的に空気圧をかけ、上気道の閉塞(=へいそく=)を解除させる治療)で治療すると、高血圧が劇的に改善します。睡眠の質も上がり、日中の疲れや眠気もなくなります。

実は、ぼくも睡眠時無呼吸症候群と診断されました。血圧は高くないのですが、不整脈の一種である心房細動の治療の過程で見つかりました。

ぼくはシーパップが合いませんでしたが、歯科でマウスピースをつくり、これを睡眠中に装着することで、気道が広がり、いびきがなくなりました。熟睡できるようになったおかげで、日中の生あくびもなくなりました。

眠っているはずなのに疲れがとれないという人は、かかりつけ医に相談し、背景に病気がないか調べるのもよいでしょう。(医師で作家・鎌田實)