ある医療機器製造販売業のC社長との出会いがありました。今までの幹細胞を使った再生医療はもちろん知ってはいたのですが、耳鼻科領域の再生医療についての情報が少なく、安全性の問題から興味がありませんでした。

ところがC社長の話を聞いてエクソソーム(幹細胞培養上清液)治療の可能性を感じました。C社長の会社では「心臓シミュレーター」というスーパーコンピューター「富岳」を利用して画期的な医療機器を開発しています。この医療機器はあなたの心臓が現在どのような状態なのか、また将来どうなるのか、もしあなたが心臓手術の必要な病気の時どのような術式があなたにとって最善なのかどうかスーパーコンピューターが計算をしバーチャル上で予測ができるのです。

政府や大企業が莫大(ばくだい)な研究費用をかけて開発をしています。第1段階の開発は完成し、実用化に向けて日本や米国医療機器申請を行っているところです。第2段階では心臓血管、心筋、弁の再生を目指しており、この開発が成功すれば多くの心臓移植をしなければ改善できない方々の命を助けることができます。

その開発の副産物がエクソソーム治療なのです。つまり、心臓再生をするには、幹細胞から心臓細胞を大量に速く作らなければなりません。我々は幹細胞を培養することによって大量にできた細胞は心臓再生に利用し、細胞を採取した残りの上清液をエクソソーム治療に利用しているのです。

◆都筑俊寛(つづく・としひろ)コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京院長、フランス国立神経学研究所客員教授、医学博士、日本耳鼻咽喉科認定専門医。01年よりいびき、鼻アレルギーに対するレーザー日帰り治療に特化を始め、レーザー日帰りいびき手術の総件数は2万4000例を超える。現在はエクソソームを活用した老人性難聴の治療や難病の予防、QOL改善にも取り組んでいる。