今回は、自由診療と保険診療についてお話しします。日本は国民皆保険という制度で医療が行われています。国民は国が制定した保険に全員加入しなければなりません。これにより、すべての日本国民は安定した医療が受けられます。1961年(昭36)からこの制度が施行され、世界中から高い評価を受けました。

終戦後、荒れ果てた日本がまさに復興時、この制度は日本国民を支えました。安定した医療体制が高度成長の一因と言っても過言ではありません。バブルははじけ、日本は長い成熟期に入りました。そして現在はこの保険制度も過渡期に入りました。ネット社会になり、情報はいろいろ手に入ります。安定した治療は日本国民全員を満足させることができなくなりました。また国の財政負担も大きく社会問題になっています。

医療機関にとっても都合の良い部分が多くあり、この保険制度の改革を難しくさせています。そこで、国も自由診療の分野に目を付けました。我々が最も身近な自由診療は検診です。検診を広めることで発病の予防になり、保険診療費の削減をしようということです。

会社勤めの方は企業負担で検診を受けなければなりません。国が積極的に働きかけ、国立病院でも富裕層向けの高額検診も始まりました。富裕層の人たちは、今の安定した治療よりも最先端治療を希望するようになったのです。そこで自由診療に注目が集まり始めました。

◆都筑俊寛(つづく・としひろ)コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京院長、フランス国立神経学研究所客員教授、医学博士、日本耳鼻咽喉科認定専門医。01年よりいびき、鼻アレルギーに対するレーザー日帰り治療に特化を始め、レーザー日帰りいびき手術の総件数は2万4000例を超える。現在はエクソソームを活用した老人性難聴の治療や難病の予防、QOL改善にも取り組んでいる。