食欲の秋に突入し、12月には忘年会やクリスマス、年越しの宴会など、食べる機会が増える。また、屋内外の気温差が激しいと血圧も乱高下しやすい。結果として、メタボリック症候群(心臓病や脳卒中になりやすい病態)に結びつく。

では、肥満とメタボの違いはなにか。高度肥満症治療に数多く取り組み、日本屈指の施設と称される東邦大学医療センター佐倉病院糖尿病・内分泌・代謝センターの齋木厚人教授は、次のように話す。

「BMI(体重キロ÷身長メートルの2乗)が25以上は肥満と判定されます。メタボはBMIにかかわらず、内臓脂肪量を反映する腹囲と生活習慣病の2つ以上の合併で判定されます。肥満とメタボは判定基準が異なるのです」

たとえば、身長170センチの人が体重73キロの場合、BMIは「25」を超えて「肥満」と判定される。だが、健康診断で「肥満」以外は正常値の人もいるだろう。メタボは、腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上に、次の<1>~<3>の2項目以上で判定される。

<1>脂質異常症(中性脂肪150mg/dl以上かつ・またはHDL40mg/dl未満)、<2>血圧(収縮期血圧が130mmHg以上かつ・または拡張期血圧85mmHg以上)、<3>空腹時血糖110mg/dl以上。

「単に体重が多いだけでは病気ではありません。逆にBMIが25未満でも、メタボの方は心臓病のリスクがあります」と齋木教授は話す。