日本人男性の約3割、女性の約2割が肥満(BMI=体重キロ÷身長メートルの2乗=25以上)。男性で<1>ぽっちゃりしていて、<2>健康診断で血糖値が高い人はいるだろう。さて、この<1>と<2>に共通の可能性がある身体変化とは何か。

「男性ホルモンのテストステロンが低下していることがあります。肥満で筋肉量が少ないとテストステロンが低下していることがあります。また2型糖尿病で治療がうまくいかない人の中にも、テストステロンが低下しているケースが見られるのです」

こう話す東邦大学医療センター大橋病院糖尿病・代謝・内分泌内科の上芝元教授は、2型糖尿病とテストステロン低下の研究を長年行っている。

「女性は、更年期以降、女性ホルモン(エストロゲン)の低下でメタボリック症候群に陥りやすいことが知られています。男性も、テストステロンの低下で、メタボになりやすいのです」

女性の更年期は50歳前後で起こるが、男性にも更年期があると言われるが、個人差が大きくはっきりしないことがある。テストステロンには、筋肉を増加させ基礎代謝を上げ、糖代謝を低下させる働きがある。テストステロンが低下すると、筋肉量が減って基礎代謝が落ちて脂肪が増え、肥満へとつながる。一方、糖代謝が下がることで食後の血糖値は上がり、2型糖尿病につながるのだ。テストステロンの低下は、肥満も2型糖尿病も引き起こす。

「いくつになっても、筋肉量を落とさないようにして男性力を維持することが、健康につながると考えましょう」と上芝教授は話す。