食生活が乱れ、血糖値をコントロールするホルモン・インスリンの効きが悪くなると、2型糖尿病のリスクは上がる。血液検査で、過去1~2カ月の血糖値の平均を表すHbA1cの値が6・5%以上、空腹時血糖値126mg/dl以上は、2型糖尿病の可能性が高い。

「治療の基本は食生活の見直しです。それでも改善しないときには血糖値をコントロールする薬を使用します。最近は、さまざまな治療薬が登場し、血糖値の改善はしやすくなっています」と、東邦大学医療センター大橋病院糖尿病・代謝・内分泌内科の上芝元教授は話す。

インスリンの分泌を促すGLP-1受容体作動薬や、血液中の糖を尿と一緒に排出するSGLT2阻害薬は、従来の糖尿病治療薬よりも効果が期待できるという。しかし、それでも血糖値のコントロールが難しい人がいる。

「私は長年、男性ホルモンのテストステロンと糖尿病の関係について研究しています。薬で効果がいまひとつの2型糖尿病の患者さんでは、テストステロンが低下していることがあるのです。テストステロン軟膏を塗ると、血糖値の値やLDL(悪玉)コレステロール値が改善することも明らかにしました」

食生活を見直して、効果が期待できる糖尿病治療薬でも、血糖値の改善がいまひとつ。その陰に、テストステロンの低下が関わることがあるのだ。上芝教授は、効果的なホルモン補充療法の研究を進めている。近い将来、難治性の糖尿病治療で男性ホルモン補充療法が当たり前になるかもしれない。