高血圧の最大原因とされる食塩の摂取量について、来年4月に施行される「21世紀における国民健康づくり運動『健康日本21(第3次)』」では、1日平均の目標値が7グラムになる。現行の「健康日本21(第2次)」では1日8グラムなので1グラム厳しくなった。

しかし、1グラムの減塩では、血圧は1(単位=mmHg)しか下がらないといわれる。高血圧は、診察室の測定で収縮期血圧140以上・拡張期血圧90以上が続くと診断される。仮に収縮期血圧150の人が、減塩1グラムを達成しても、149へ導かれるだけで正常値へはほど遠い。この「1グラム」の減塩をどう考えればよいのか。

「個人の身体的な影響は、一見小さく見えますが、多くの人が目標値をクリアできれば、心筋梗塞や脳卒中の患者さんを約半分に減らすことが可能になります」

こう指摘するのは、東京都健康長寿医療センターの原田和昌副院長。循環器専門医・地方評議員、高血圧専門医・評議員などの多数の資格を有し、高血圧の診断・治療・研究を数多く行う。

「現在の日本の1日平均塩分摂取量は1日約10グラムです。1日7グラムを習慣化すれば、個人の高血圧によって引き起こされる病気のリスクも減らせます」

減塩1グラムで血圧は1しか減らないと考えると、「たったそれだけ?」と思うが、高血圧の体は「1」減っただけでも楽になるイメージだ。それが続くことで病気予防につながる。

「特に冬場は血圧が乱高下しやすい時期です。高塩分で動脈硬化が進んでいるとよくありません。塩分を控えることを意識しましょう」と原田副院長は話す。