がんロコモドクター登録医でもあり「がんロコモ・ワーキンググループ」のオブザーバーを務める、埼玉医科大学病院リハビリテーション科・篠田裕介教授が続ける。
「歩けることは、人の手を借りずに生活することにつながり、同居する家族にとっても重要な問題となります」
入浴や排せつなど介護する側へのメリットも大きい。一方、がんそのものにより運動機能が障害されることがある。
「その代表が『骨転移』であり、すべてのがんで起こりうる。上腕骨や大腿(だいたい)骨に骨転移があることで骨折したり、背骨に転移して神経が侵されると、歩けなくなるだけでなく排尿や排便にも大きな支障をきたすことがあります」(篠田教授)。
背中が痛いといった症状から見つかることもあるのだ。骨折や、まひの症状は、がんが原因であったとしても、整形外科が専門の領域であり、手術によって改善することもあるという。
篠田教授はこうアドバイスする。
「がんの患者さんで手足の痛みやしびれ、筋力低下などがあるときは、すぐに整形外科できちんと診察してもらうことが非常に重要です。すぐに原因をはっきりさせ、原因に応じた治療を行うことが、運動機能の維持につながります。がん患者も医療者も、不調の原因をすべてがんのせいにしてしまう傾向がありますが、検査の結果、痛みの原因ががんとは関係のないロコモだったということもよくあります」

