特に1人暮らしの人は、周りの人が困らないように、何かあったとき誰に連絡したらいいかを冷蔵庫などに貼っておくといいと思います。延命治療を望むか望むかないか、葬式や埋葬をどうするか等も書いておくと、残された家族にとってはありがたいものです。自分の死後のことを考えることは「縁起の悪いこと」でも「後ろ向きなこと」でもありません。

諏訪中央病院の緩和ケア病棟に末期がんで入院している75歳のAさんは、家族がいません。自分で自分の葬儀を準備しようと、市役所の担当職員を呼んで相談しました。小さな葬儀を行うことと、参列してもらう友人をリストアップすると、心のつかえがとれました。

心から安心できたからなのか、決して多くない財産からもろもろ差し引いても数万円残ることに気づき、諏訪中央病院に2万円を寄付したいと申し出てくれました。ちょうど同じ病棟に「最期にメロンを食べたい」というBさんがいました。Bさんも経済的余裕はありません。病棟全体の患者さんでメロンパーティーをすることにしました。その費用としてAさんのお金を使わせてもらえないかと伝えたところ、Aさんは快諾してくれました。

「おれも、参加するよ」とメロンパーティーに出たAさんも、そしてBさんも、とてもうれしそうでした。

自分の人生を最後まで自分で決めることは、周りの人に迷惑をかけないという意味だけでなく、自分自身が後悔なく生きるために重要なことだと思います。