男性ホルモンの代表格の「テストステロン」が低下しているのは、どのような人でしょう。前回は「糖質制限をしている人」を取りあげました。今回は、「脂肪肝の人」に注目です。

脂肪肝にはいろいろありますが、大きく分けると「アルコール性脂肪性肝疾患」と「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」の2つ。アルコール性の原因は、その病名通りお酒の飲み過ぎです。一方、非アルコール性は肥満やメタボなどが原因で起こります。そのほか、やせ過ぎ、薬剤、遺伝性代謝疾患など特殊な原因で脂肪肝が起こることもあります。今、日本人に多いのは非アルコール性で、その患者数は1000万人以上と推定されています。

非アルコール性の中でも非肥満の人では、内臓脂肪の増加に加え、骨格筋と筋肉量の減少が分かってきました。これは、筋肉量の低下に加え、筋力の低下や身体機能の低下のいずれかが認められる状態の「サルコペニア」の前段階、「プレサルコペニア」の状態です。この状態はテストステロンの低下がハッキリしています。脂肪肝による筋肉量の減少は、“テストステロンの減少”につながります。

非アルコール性で非肥満男性ではテストステロンが低いので、脂肪肝のリスクがアップ。加えて、脂肪肝自体がテストステロンを下げるので、ダブルパワーでテストステロンが低下することになります。

このようなケースでの対応は、まずは食事、運動などです。それでもテストステロンの上昇がみられない場合は、ホルモン補充療法に-。動物実験ではテストステロンを補充すると骨格筋量が回復することがわかりました。「男性更年期障害(LOH症候群)」を改善するためには、「男性ホルモン補充療法(テストステロン補充療法)」が回復の道を開いてくれます。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)