発作性上室頻拍のうち、房室結節回帰性頻拍と房室回帰性頻拍は、心臓のリズム取りの司令塔である刺激伝導系に関わる不整脈であることを前回話しました。

房室結節回帰性頻拍は、刺激伝導系の房室結節という部分を回帰する頻拍という意味です。「房室結節」とは心房と心室の間にある“節”のような形をした特殊な心筋細胞群です。心房と心室間の電気の受け渡しをする重要な部分です。

回帰性頻拍とはこの部分で、心臓を流れる電気が回帰する頻拍です。回帰とは英語でリエントリーといい、海外旅行から帰国した時に再入国カウンターがリエントリーと書かれています。まさに電気が出たり入ったりを繰り返す頻拍ということです。なぜ出たり入ったりできるのでしょう?

通常電気の通り道は、一方通行で矢継ぎ早に行ったり来たりはできません。単線を走る電車と同じで電気も衝突してします。頻拍を引き起こす房室結節には2種類の性質の異なる電気の通り道があるため頻拍を起こしてしまうのです。それは電気が速く流れる回路と遅く流れる2つの電気の通路です。

会社でいえば、経営管理部門にタイプの違う統括部長と部長代行がいるパターンです。部長は率先して仕事をして上からの指示を部下の能力を考慮しながら下に指示します。過負荷となれば指示を拒否するタイプです。部長代行はマイペースですが体力があり仕事をし続けるイエスマンタイプで、自分にきた指示は全て下におろします。部長がストップをかけた指示でも代行は下にどんどん伝えてしまいます。

部長がすぐに上長に差し戻しますが、上長が指示を代行に伝えて実務に降ろしてしまう。その繰り返しが頻拍状態ということになります。部長が戻して代行が伝える。心臓の房室結節では、性質の違う2つの電気回路で電気をキャッチボールしているイメージです。電気が行って戻ってくるので1分間100回の心拍が倍の200回になる計算です。